原題 악녀 / THE VILLAINESS![イメージ 1]()
製作年度 2017年
製作国 大韓民国
製作 ネクスト・エンターテインメント・ワールド
APEITDA
公開 2018年2月10日
配給 KADOKAWA
上映時間 124分
監督、脚本、製作 チョン・ビョンギル
脚本 ユン・ビョンシク
製作総指揮 キム・ウテク
撮影 パク・ジョンフン
音楽 グ・ジャワン
編集 ヘ・スンミ
美術 キム・ヘジン
アクション指導 チョン・ビョンギル
クォン・ギドク
出演
キム・オクビン:スクヒ
シン・ハギュン:ジュンサン
ソン・ジュン:ヒョンス
キム・ソヒョン:クォン幹部
キム・ヨヌ:ウネ
ミン・イェジ:スクヒ(少女期)
鑑賞 2018年月日
DVD(発売元:KADOKAWA)字幕
★★★★★
~悪女になるなら月夜はおよしよ
素直になりすぎる
「悪女」と聞くとどうしても
中島みゆきの唄を思い出してしまう。
要はトシですな。
公開前から話題になっていた、
韓国のアクション映画。
正直『ニキータ』を韓国風に
ちょっとヤリスギ程度にしたもんかと
タカをくくっていたのだけど、
いや、いやいやいや!(震笑)
ちょっとヤリスギどころか、
『ザ・レイド』や『ジョン・ウィック』
にも匹敵する超絶ガチンコアクションの
大傑作でありました。
まずはのっけからのFPSカチコミシーン
でド肝を抜かれた。
FPS自体は前に『ハードコア』なんかでも
やってたし別段目新しいものではないのだ
けど、ただ頭にカメラを乗っけただけの
バカチョンPOVとは違い、
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物凄く計算し尽くされたカメラワークで
「え?どうやって撮ってんの?」と
思う間もなく修羅場の真っただ中に
放り込まれてしまう。
アクション好きならこのファーストシーン
だけでアドレナリンを出し切ってしまう
可能性大だ。
勿論これだけでは終わらない。
中盤の高速バイクチャンバラから
クライマックスのバス内大乱闘に至るまで、
「どうかしてるよ!」と言いたくなるほどに
狂ったアクションシーンがゾロゾロ続く。
1つ1つはどこかで見たことあるような
アクションなのだけど、それでいてオリジ
ナルをより激しく、斬新なものへと趣向を
凝らして作ってある。
そしてこれでノーCGと言うから参ってしまう。
なんでも監督はスタントマンの出身だそうで、
前出の『ニキータ』や『ザ・レイド』、
そして『ボーン・アイデンティティ』に
『ポリス・ストーリー』等々、古今東西の
アクション映画にリスペクトを捧げつつ、
それでいてハッタリでもなんでもなく
「この際てっぺんいったるわい!」とでも
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いう風な不敵な気概が伝わって来る。
にしても韓国映画は相変わらずアツいなあ。
『新感染』のヨン・サンホ然り、
ポン・ジュノやキム・ジウンらに続く
新しい世代の充実ぶりをひしと感じる。
とにもかくにも主演のキム・オクビンに
尽きてしまう。
普通こういうヒロインアクションは
クールな眼差しで相手を仕留めて行くのが
定番だが、まさに羅刹の如き表情で
雄々しい咆哮を上げ時には泣き叫び、
マシンガンを乱射しドスやら斧を振り回す
「悪女」ぶりにホレボレした。
パク・チャヌクの『渇き』でもドンビキの
エロシーンをやってのけていたけども、
まったく肝の据わった女優さんである。
一方ストーリーによくありがちな
「韓流」風のベタ甘ラブストーリーが
絡んできてちょっと好みじゃないなあと
感じたのだけど、それが却って本作に
従来のガチンコアクションにはない魅力を
添えていたとも言える。
雨のように降り注ぐ暴力のひとつひとつに
人間のあまりにもピュアで重過ぎる想いが
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込められている。
韓国映画といえばエゲつないバイオレンス
描写がウリだけども、その中に込められた
「濃さ」こそが魅力であるわけで。
この悲劇を生み出した男の最後の一言に
ああ、やっぱり「恨」の国の人々だなあと。
こうやって取り返しのつかない間違いを犯し、
後悔を抱えながら悶々と生きて行く人々。
それは少なからず私達にも通じるものが
あるわけで。
後から思うと、中島みゆきを連想したのは
あながち的外れでもなかったかもしれない。
そう言えば、「恨みます」という唄も
あったっけ。