October 18, 2017, 5:25 am
原題 "DAWN OF THE PLANET OF THE APES"![イメージ 1]()
製作年度 2014年
製作国 アメリカ、イギリス、カナダ
製作 チャーニン・エンターテインメント
TSG・エンターテインメント
インジニアス・メディア
製作費 $170,000,000
国内配給 20世紀フォックス
日本公開 2014年9月19日
上映時間 130分
監督 マット・リーヴス
脚本 リック・ジャファ
アマンダ・シルヴァー
マーク・ボンバック
製作総指揮 トーマス・M・ハメル
ジェノ・トッピング他
製作 ピーター・チャーニン
ディラン・クラーク他
撮影 マイケル・セレシン
音楽 マイケル・ジアッキーノ
編集 ウィリアム・ホイ
スタン・サルファス
配役 デブラ・ゼイン
美術 ジェームス・チンランド
衣装 メリッサ・ブルーニング![イメージ 2]()
VFX WETAデジタル
出演
アンディ・サーキス:シーザー
ジェイソン・クラーク:マルコム
ゲイリー・オールドマン:ドレイファス
ケリー・ラッセル:エリー
トビー・ケベル:コバ
コディ・スミット・マクフィー:アレクサンダー
カーク・アセヴェド:カーヴァー
ニック・サーストン:ブルーアイズ
鑑賞 2017年10月17日
Blu-ray 字幕(発売元:20世紀フォックス・
ホームエンターテインメント・ジャパン)
★★★★★
これまた再見。(初見時の感想はこちら)
『創世記』と続けて観てみると、明らかに
仕立てを変えて来てるのがよく分かる。
更なるリブート、別のシリーズと言っても
いいくらいだ。
『創世記』は確かによく出来たエンタメ作
ではあったが、どちらかと言えば安易な
リメイク作品にありがちな安っぽさや
ツッコミどころ、ご都合主義が満載された![イメージ 3]()
「B級SF」であり、そこがまたウルサ型の
マニア層から「こんなの猿の惑星じゃない」
と酷評を浴びた。
作り手としてもこれはやはり不本意であった
ことでしょう。『猿の惑星』という映画史に
残る名作の名に相応しい、堂々たるリブート
へと軌道修正を図ったのがこの『新世紀』で
あったかと。
製作予算は前作の倍に相当する$170万。
監督に『クローバーフィールド』、
『モールス』のマット・リーヴスを起用。
当初は『創世記』の新鋭ルパート・ワイア
ットが続投の予定だったものの、
「準備期間が足りない」との理由で降板に
至ったと報じられたが、本当のところは
シリーズの軌道修正を図るために安パイの
リーヴスを起用したようにも思える。
前作までの『バイオハザード』的なB級
SFテイストを冒頭で上手くバックボーン
として収め、そこからシーザーを中心と
した濃密な群像劇、壮大な革命史劇へと
堂々舵を切って見せた。
そう言えばリーヴスはその昔JJなんかと![イメージ 4]()
テレビ業界で鳴らした人。
全国民をまるっとテレビの前に釘付けに
する連ドラの手法なんかはお手の物か。
この時既に大人気の『ウォーキング・デッ
ド』の世界観は少なからず意識してたん
じゃないだろか。どうもシーザーがリック
にカブって見えて仕方なかった。
CGのクオリティも劇的に向上。
毛並みの質感や肌の表情の表現等には
並々ならぬ技術の進歩が感じられたが、
特に赤ちゃん猿に注目するとその差は歴然。
『創世記』のシーザーが赤ちゃん時代は
CG特有の「クリーチャー」くささが漂っ
ていたが、今回の赤ちゃんはほぼ本物と
見紛うほどの出来になっていた。
結果この軌道修正は大成功。
「予想外に」面白かった『創世記』を観た
人はそれなりに期待をしてこの『新世紀』
を観に行ったと思うのだけど、その誰もが
「今度のはマジすげえぞ!」と少なからず
度肝を抜かれたはず。
そして現在公開中の『聖戦記』は
これよりも更に「ハンパなくすげえ!」と
もっぱらの噂。
過度な期待は禁物とはよく言うけども、
今回ばかりは期待値MAXで胸をパンパン
にして劇場に向かおうと思う。
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October 19, 2017, 1:33 am
BOX OFFICE TOP 10
weekend of October13‐15, 2017
1. 『ハッピー・デス・デイ(原題)』![イメージ 1]()
(ユニヴァーサル)
1週目 週末興収$26.0M 総興収$26.0M
※ハロウィンシーズンということでおなじみブラム印のお手軽ホラーがトップ。なんかすごい懐かしい感じのポスターですな。監督は『ゾンビーワールドへようこそ』のクリストファー・ランドン。
2. 『ブレードランナー2049』
(ワーナーブラザース)
2週目 週末興収$15.5M 総興収$61.0M
※大コケとか言われてるけども評価は上々。オリジナルもずいぶん後になってカルト化した感じだしね。
3. 『ザ・フォリナー(原題)』
(STXエンターテインメント)
1週目 週末興収$13.1M 総興収$13.1M
※ジャッキー・チェン+ピアース・プロスナン共演のアクションスリラー。
4. 『IT:イット"それ"が見えたら、終わり。』
(ワーナー/ニューライン)
6週目 週末興収$6.1M 総興収$314.9M
※ホラー映画史上初の総興収3億ドル突破。これからの世界公開でどこまで伸びるか?
5. 『ザ・マウンテン・ビトウィーン・アス(原題)』![イメージ 2]()
(20世紀フォックス)
2週目 週末興収$5.8M 総興収$20.6M
6. 『バリー・シール/アメリカをはめた男』
(ユニヴァーサル)
3週目 週末興収$5.5M 総興収$40.2M
7. 『キングスマン:ゴールデンサークル』
(20世紀フォックス)
4週目 週末興収$5.3M 総興収$89.7M
8. 『レゴⓇニンジャゴー・ザ・ムービー』
(ワーナーブラザース)
4週目 週末興収$4.3M 興収計$51.6M
9. 『マイ・リトル・ポニー』
(ライオンズゲート)
2週目 週末興収$4.1M 総興収$15.6M
※人気テレビアニメーションの劇場版
10. 『ヴィクトリア・アンド・アブドゥル(原題)』
(フォーカス・フィーチャーズ)
4週目 週末興収$3.0M 総興収$11.2M
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October 20, 2017, 4:12 am
原題 "PLANET OF THE APES"![イメージ 1]()
製作年度 1968年
製作国 アメリカ
製作 エイプジャック・プロダクションズ
製作費 $5,800,000
国内配給 20世紀フォックス
日本公開 1968年4月30日
上映時間 112分
監督 フランクリン・J・シャフナー
脚本 マイケル・ウィルソン
ロッド・サーリング
原作 ピエール・ブール
製作 アーサー・P・ジェイコブズ
製作補 モート・エイブラハムズ
撮影 レオン・シャムロイ
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
編集 ヒュー・S・フォウラー
美術 ウィリアム・J・クレバー
ジャック・マーティン・スミス
衣装 モートン・ハック
特殊メイク ジョン・チェンバース
出演
チャールトン・ヘストン:テイラー
ロディ・マクドウォール:コーネリアス![イメージ 2]()
キム・ハンター:ジーラ
モーリス・エヴァンズ:ザイアス博士
ジェームズ・ホイットモア:議長
ジェームズ・デイリー:オノーリアス
リンダ・ハリソン:ノヴァ
鑑賞 2017年10月19日
Blu-ray 字幕(発売元:20世紀フォックス・ホームエンターテインメント)
★★★★★
もはや一般常識と言ってもいい、
SF映画の古典。
とは言うものの、自分も小学生の時にテレビ
の洋画劇場で観たっきり。
今年は特にコングにハマったのもあるし、
最新作の前に「着地点」を確認しておくのも
アリかと思い、手に取った次第。
果たして、まずはゴメンナサイだ。
人のナリをしたサルに半裸のチャールトン・
ヘストンが散々イビられるとか、そんな程度
の「B級映画」と今の今まで思っていたのだけ
ど、改めて観てみると思いの外にマジメな![イメージ 3]()
「本格SF」であったことに驚かされた。
作品に込められたメッセージなどロクに理解
せず、頭がB級になっていたのは自分の方だ
ったのだ。
アドベンチャーや活劇の要素はあまりなく、
どちらかと言えば会話劇に近い。
突如現れた「喋る人間」を前に、支配種族で
あるサルたちが自分たちの起源を巡る謎へ
と踏み込んで行くミステリー。
当時怪獣とかスーパーカーに夢中だった
小学生にはさぞ退屈な内容だったに違い
ない。
予算や視覚効果の制限もあっただろうが、
このストーリーで勝負といった姿勢が
現在に至る「クラシカルなSF映画の傑作」
という評価に繋がったんじゃないかと思う。
子供の頃は全く気にもしてなかったのだけど、
特に印象的だったのが主人公の地球に対
する「思い」。
冒頭、長い宇宙旅行を経た乗組員の一行。
船内の時間では6ヵ月が経過していたが、
相対性理論によれば地球では2700年もの
時間が過ぎ去っている。
つまり、地球に戻ってもそれは出発した時の![イメージ 4]()
地球ではない。愛する人も、家族も、すべて
遠い過去のものになっている。
それでも主人公は意に涼しい顔。
「もう、未練なんかないんでね」
この時既に地球を見限っていたのだ。
いったい何があったのかを自身は語らないが、思いもがけずその答えをサルたちが 提示する。
人類というのは互いに争い、殺し合い、
この世に破壊をもたらす生物だと。
冷戦下の地球で軍人だった主人公はそのこと
をひしと目の当たりにし、人類の行く末に
すっかり悲観してしまっていたんでしょう。
だから、この遠く離れた新天地でアダムに
なろうと考えたのだ。
(ちなみにイヴにしようと思っていた女性は
コールドスリープの故障でミイラになって
しまったが、現地でバカだけど毛皮ビキニの
巨乳ギャルを調達したから結果オーライだ)
映画史上に残る、
あのあまりにも有名なラストシーン。
幾度となく目にしていたはずの光景なのに、
やっぱり鳥肌が立ってしまった。
と言うかDVDのパッケージ、
いい加減にしろっつうくらいネタバレだよね?
↧
October 24, 2017, 3:47 am
原題 "WAR FOR THE PLANET OF THE APES"![イメージ 1]()
製作年度 2017年
製作国 アメリカ、カナダ、ニュージーランド
製作 チャーニン・エンターテインメント
リヴァーロード・エンターテインメント
TSG・エンターテインメント
製作費 $150,000,000
国内配給 20世紀フォックス
日本公開 2017年10月13日
上映時間 140分
監督、脚本 マット・リーヴス
脚本、製作総指揮 マーク・ボンバック
製作総指揮 メアリー・マクラグレン
ジェノ・トッピング
製作 ピーター・チャーニン
ディラン・クラーク
リック・ジャファ
アマンダ・シルヴァー
撮影 マイケル・セレシン
音楽 マイケル・ジアッキーノ
編集 ウィリアム・ホイ
スタン・サルファス
配役 ハイケ・ブランドスタッター
コリーン・マイヤーズ
デブラ・ゼイン![イメージ 2]()
美術 ジェームズ・チンランド
衣装 メリッサ・ブルーニング
VFX WETAデジタル
出演
アンディ・サーキス:シーザー
ウディ・ハレルソン:大佐
スティーヴ・ザーン:バッドエイプ
カリン・コノヴァル:モーリス
アミア・ミラー:ノヴァ
テリー・ノタリー:ロケット
タイ・オルソン:レッド
マイケル・アダムスウェイト:ルカ
鑑賞 2017年10月21日
仙台東宝シネマズ IMAX 字幕
★★★★☆
(※ご注意:最後ネタバレしてます)
絶賛公開中!
『猿の惑星』リブート・トリロジー完結篇。
「グレート・ウォー」なんて言うもんだから
猿が人類に取って代わる、ド派手で壮大な
戦争絵巻が繰り広げられるのかと思ってい
たのだけど、そうじゃない。![イメージ 3]()
シーザーは仲間と共に山奥の砦に籠り、
堅く守りを固めている。
人間様がちまちま攻撃を仕掛けてくるが
その都度撃退し、「我々を放っておいてさえ
くれれば、この戦いは終わるのだ」
決して自分達からは打って出ようとしない。
が。そんなヌルいことを言ってたせいで
大佐なる極悪非道な軍人の夜襲を食らい、
大事なヨメと後継ぎ息子を殺されてしまう。
当然シーザーは怒り狂う。
「野郎どもいてまえ!カタキ討ちじゃあ!」
遂に全面戦争に雪崩れ込むかと思いきや、
そうならない。
「これはオレ一人の戦いだ。お前たちは
この砦を捨てて、安全な場所へ逃げろ」
飽くまでも「猿vs.人類」の戦争を避け、
自分ひとりで落とし前を付けるべく
大佐の基地へと向かっていくシーザー。
そして「お前ひとりで死にに行かせるわけに
はいかない」と、古参のサル仲間たちが
付いて来る。4匹のサルが馬に跨り、とぼと
ぼと荒野を往くシルエットはまるで西部劇。
監督のマット・リーヴスによれば、![イメージ 4]()
イーストウッドの『アウトロー』を参考に
したんだとか。そのせいか終始眩しそうな
目で遠くを見つめるシーザーさんに萌える。
道中で加わる2人の仲間、口のきけない
少女と喋りまくりのサル。
この2つのキャラがとても素晴らしい。
少女のクダリはややあざとさが感じられない
でもないが、『クローバーフィールド』や
『モールス』でも見られたように、こんな
唐突にブッ込んでくる瑞々しさもリーヴス
監督のイロなのかもしれない。
もう一匹、案内役として一向に加わるサル
「バッドエイプ」。決して悪い奴ではなく、
そう呼ばれるに至った理由がなんとも切ない。
豊かな表情やユーモラスな動きがとにかく
素晴らしく、こと造形面で言えばエイプクリ
ーチャーの最高峰と言っていいんじゃないか。
最初はゴラムかと思ったが、だんだん左卜全
に見えてくる不思議。吹き替えは柳沢慎吾さ
んがアテてたらしいけども(笑)
参謀役のオランウータン、モーリスと
特攻隊長のロケット、ゴリラの護衛役ルカ、
古参レギュラー陣とミッションに就く展開は
『コンバット』など昔ながらの「小隊モノ」に![イメージ 5]()
準じたものか。途中に差し挟まれる胸アツの
エピソードもなかなか泣ける。
そして「大佐」の基地に潜入せり。
こないだの『キングコング:髑髏島の巨神』
でもそうだったが、エイプとベトナムを
絡ませるのはなんかのハヤリなのか。
「大佐」とはつまり『地獄の黙示録』の
アレである。かのナチュラルボーンキラー、
ウディ・ハレルソンがもちろんスキンヘッド
で「大佐」を堂々力演。
さあ、クソヤローの大佐に復讐や!!
となるかと思いきや、基地の中には砦から
脱出したはずの仲間たちがまるっと囚われて
いて、結局自分も捕まってしまう。
挙句の果てには奴隷として鎖で繋がれ、
基地内で強制労働の日々を送るハメに。
それでもシーザーは暴れたりしない。
仲間のために「マトモに水と食料をくれ」と
要求したり、仲間を庇ってムチでビシビシ
叩かれたり、これでもかと言わんばかりの
虐げられっぷり。
が、やがて特攻Aチームの脱出作戦が成功。
シーザーは大勢の仲間ともども解放される。![イメージ 6]()
憎き大佐の元へと走り、遂に相対する。
しかも大佐は丸腰。
が、シーザーは引き金を引かずに立ち去る。
結局ここで「グレートウォー」は起きなかった。
人類は猿に「取って代わられた」んではない。
自ら滅んだのだ。
ここでシーザーが大佐を撃ち殺して、
そして武装蜂起をして人類を打ち負かし、
いずれは滅ぼしたとしても、それでは人間 と同じ道を歩んでいるに過ぎない。
いつの日か、口のきけないサルになる。
そのことを悟ったからこそ、
シーザーは引き金を引けなかったんでしょう。
戦争からはなにも生まれない。
改めて。自由の女神は出なかったけども、
1968年のオリジナルに本当の意味で繋がって
いたことに気付く。
そして古い映画から様々な戦いを引用しつつ
"WAR FOR THE PLANET OF THE APES"
作り手がタイトルに込めた意味を考える。
邦題については毎度のことながら、
これを「聖戦」とはカン違いも甚だしい。
まず、日本人らしいとも思うけど。
↧
October 26, 2017, 3:51 am
原題 "CELL"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 ベナローヤ・ピクチャーズ
120dBピクチャーズ
カーゴ・エンターテインメント他
国内配給 プレシディオ
日本公開 2017年2月17日
上映時間 98分
監督 トッド・ウィリアムズ
原作、脚本 スティーヴン・キング
脚本 アダム・アレーカ
製作総指揮 パディ・カレン
ジョン・キューザック
ザヴィエ・ジャン他
製作 マイケル・ベナローヤ
シャーラ・ケイ
ブライアン・ウィッテン他
撮影 マイケル・シモンズ
音楽 マルセロ・ザルヴォス
編集 ジェイコブ・クレイクロフト
配役 タラ・フェルドスタイン
チェイス・パリス
美術 ジョン・コリンズ![イメージ 2]()
衣装 ロレイン・コピン
出演
ジョン・キューザック:クレイ
サミュエル・L・ジャクソン:トム
イザベル・ファーマン:アリス
クラーク・サルーロ:シャロン
イーサン・アンドリュー・カスト:ジョニー
オーウェン・ティーグ:ジョーダン
ステイシー・キーチ:アルダイ
ジョシュア・マイケル:もじゃもじゃ
鑑賞 2017年10月24日
DVD 字幕(発売元:松竹)
★★★☆☆
今だ強力なブランドとして君臨する
モダンホラーの帝王スティーヴン・キング。
毎年コンスタントに映画化がリリースされて
はいたが、このところはNetflixで製作された
『ジェラルドのゲーム』、『1922』が
軒並み高評価を受け、サマーシーズンには
『ダーク・タワー』、『イット』の2本が
立て続けにトップを飾った。![イメージ 3]()
殊に『イット』は総興収$3億超えという
ホラー映画としては未曾有のメガヒット。
これを受けてかJ・J・エイブラムス制作の
テレビシリーズ『キャッスルロック』、
また『シャイニング』、『デッドゾーン』の
リメイクや長いこと塩漬けを食らっていた
『タリスマン』や『ザ・スタンド』等の企画も 動き出し、微かならぬ風が吹いている模様。
さて。本作『セル』はそんなキング先生に
よる感染パニックスリラー。
原作はゾンビ映画の祖ジョージ・A・ロメロに
捧げられていたが、本作の感染者たちは![イメージ 4]()
死人ではないから厳密にいえばゾンビでは
ない。感染源は『セル』=つまりは携帯電話。
携帯電話で通話をしていた人が突然白い泡
吹いて凶暴化、手当たり次第に襲い掛かる。
噛まれて感染はしないが、感染者の口から
発せられる電波により伝染してしまう。
瞬く間にアメリカ全土は暴徒の坩堝と化す。
が、たまたまその時携帯の充電が切れて
感染しなかった男がいた。
男は別居中であった妻と息子の身を案じ、
一路妻の家へと向かうのだが―
主演ジョン・キューザック+サミュエル・L
・ジャクソンは『1408号室』と同じ布陣。
ジョン・キューザックは『1408号室』も
そうだったが、現実と妄想の狭間で惑い苦し
む「ダメなパパ」がよく似合う。
『スタンド・バイ・ミー』では少年が夢見る
「完璧なおにいちゃん」に扮していたが、
つくづくキング作品にハマる役者さんと思う。
対するサミュエルは主人公と行動を共にする
バスドライバーという役どころ。
こちらは全くもっていつものサミュエル兄貴。
神よ、うんたらかんたら…とか十八番の説教
タイムもしっかりあります。そう言えば![イメージ 5]()
説教垂れるニガーというのもゾンビ映画じゃ
ある意味お約束の役回りなわけで。
そして道中で出会う女の子がヤケにダーク なオーラを纏ってて印象的だったのだけど、
後で調べてみたらイザベル・ファーマン、
あの「エスター」ちゃんだった。![]()
あの頃から7年ほど、すっかり綺麗な大人
の女優さんになってたんで驚いたけども、
やっぱりおバアちゃんじゃなかったんだね、
ああ良かった。
監督トッド・ウィリアムズは『パラノーマル』
界隈から抜擢された人らしいけども、
映像のセンスやなんかは悪くない。
冒頭に空港で繰り広げられるモブパニックは
結構迫力があったし、そこから地下道の
シークエンスを経て目前に広がる
ポストパンデミックの荒れ果てたビジュアル
も蓋し紋切り型ではあるが良い雰囲気だった。![イメージ 6]()
ただどちらかと言えばなんでもこなす小手先
の器用な職人タイプなのか、あまりホラーと
いうジャンルへの思い入れが感じられず、
いまいちゾクゾクするような感覚に欠ける
ような気はした。
そしてなによりキング先生自らが脚本を
書いていて、原作者の脚本となれば本来は
安心材料と言えそうなところだけども、![イメージ 7]()
ことキング先生に関してはそうじゃない。
キング先生と言えば古今東西のB級映画に
造詣の深い映画マニアであり、その小説は
確かに映画の蘊蓄を活かしたものであるが、
映画人としてのセンスはからっきしと言っ
ていい。
そもそもクドい!というほどに饒舌な語り
口で読者に鮮明なビジュアルイメージを
想起させるキングの作品は、「映画的」で
はあるが「映画向き」では決してない。
ゾンビパンデミック転じて「トウモロコシ
畑の子供たち」へと繋がる後半の展開は
まさにキング・オリジナルと言った感だが、
これをそのまま絵にするとたちまち『ウィ
ッカーマン』の出来損ないに堕ちてしまう。
折角キング節を効かせたキャラクター達も
それぞれのエピソードを消化しきれず。
そもそもそれをやるには並の長編映画では
尺が足らなすぎるのだ。 コアなキングファンなら一見の価値はあるが、
そうでもない人にはちょっとオススメしかね
ますです。
↧
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October 28, 2017, 7:49 am
原題 "1922"![イメージ 1]()
製作年度 2017年
製作国 アメリカ
製作 キャンプファイア
配給 ネットフリックス
配信開始日 2017年10月20日
上映時間 102分
監督、脚本 ザック・ヒルディッチ
原作 スティーヴン・キング
製作総指揮 イアン・ブリック
ジェイミー・ゴアリング
ショーン・ウィリアムスン他
製作 ロス・M・ディナースタイン
撮影 ベン・リチャードソン
音楽 マイク・パットン
編集 マーリン・イーデン
配役 モリーン・ウェブ
美術 ペイジ・バックナー
衣装 クローディア・ダ・ポンテ
出演
トーマス・ジェーン:ウィルフレッド
モリー・パーカー:アーレット
ディラン・シュミッド:ヘンリー
ケイトリン・バーナード:シャノン![イメージ 2]()
ニール・マクドナー:ハーラン
ブライアン・ダーシー・ジェームズ:保安官
鑑賞 2017年10月26日
ネット配信(ネットフリックス) 字幕
★★★★☆
あれは1922年のこと―
「私」はネブラスカのド田舎で慎ましやかに
農場を営んでいたが、妻の父親が亡くなり
広大な土地が相続で転がり込んできた。
「私」はその土地を併せて農場を広げ、
ゆくゆくは息子に譲りたいと思っていたが、
貧しい農場暮らしにいい加減ウンザリしてい
た妻は土地は自分が相続したのだから、
売っ払って都会に引っ越すと言い出した。
「私」は当然反対するが、すると妻は売った
金を半分に分けて離婚する、息子も自分が
連れて行く、と強硬手段に打って出る。
このままでは農場も息子も奪われてしまう。
当の息子は隣家の娘とイイ仲になっていた
から、ここを離れることを望んでいない。
そこである夜、「私」は息子と語らい
酒を飲んで眠り込んだ妻の首を切り裂き、![イメージ 3]()
その死体を古井戸に投げ込んだ。
これで農場も息子も「私」のもの。が、それ
は恐ろしい悪夢の始まりに過ぎなかった―
またまたネットフリックスオリジナルから、
スティーヴン・キングの映画化作品が
リリース。
原作は2010年に発表された中篇集
"Full Dark, No Stars"からの一篇。
「一点の光もない、漆黒の闇」
未読だけども、タイトル通り全く救いのない、![イメージ 4]()
後味最低なお話ばかりを収録したらしい。
時期的に見るとジャック・ケッチャムからの
インスパイアも少なからずあったのでは。
妻殺し、母殺しというタブーを犯した父子が
やがて荒んだ人間性を露わにして行く筋立て
はまさに鬼畜系的なアプローチだが、やはり
そこはキング。同じ「真っ黒」でもそこかし
こにキング印の刻み込まれた「モダンホラー」
であったわけで。
その時はじめて分かった。殺人とは
えらくしんどい「作業」を要するもんだと。
長年の目の上のタンコブであった愚妻を
遂にぶち殺した主人公。ところが殺人という
のは「やったら終わり」ではない。
殺したことをとにかく無かったことにしなけれ
ばならないのだ。
床や壁にまき散らされた血を綺麗に洗い落
とし、ベッドのシーツを替え、マットレスを捨て、
死体を捨てた井戸を埋める。
おっと、埋めた理由も作らなきゃならない。
「なんのために埋めた?」と保安官が当然
聞いてくるからだ。
妻がいなくなった理由、一人で車にも乗らず![イメージ 5]()
に出て行った理由だって即答できるように。
昔から「こんな田舎出て行きたい」と周囲に
も言っていたのだ。家出をした体で、スーツ
ケースやお気に入りの服、靴なんかも処分し
ておかなきゃならない。
なんとか万事取り繕い、保安官も弁護士も
帰っていった。息子よ、終わったぞ。
お前の母は遂にここから去ったのだ。永遠に。
ところが、古井戸の底に繋がっていたパイプ
から得も言われぬ異臭が漂ってくる。![イメージ 6]()
そのパイプを抜けて、妻の死骸に群がってい
たネズミたちが顔を出す。たまらずパイプを
塞いだが、それでもネズミはどこからともな
く現れる。そして壁の向こうや天井の裏で
カリカリと音を立てる。まるで
「やあ。隠しきれると思ってんのかい?」
とでも言うように。
これが例えばケッチャムの描くような真正の
サイコパスなら、こんな些事はまるで気にも![イメージ 7]()
せずに暮らしている。殺人後の証拠隠滅だっ
て至って涼しい顔で、ともすれば用意周到に
証拠を消し去る「作業」に悦びすら感じてい
るかもしれない。
が、普通の人間はそうじゃない。
一時の怒りや身勝手な欲望に身を任せ、
一個の生命を消し去ってしまったことへの
後悔や罪悪感に苛まれながら、
「いつかバレるに決まってる。」
「いつの日か、報いがあるんじゃないか。」
ビクビクと怯えるような日々を送るのだ。![イメージ 8]()
ポーの「黒猫」のみならず、「四谷怪談」や
「番長皿屋敷」といった日本の怪談もの、
古来より語られ続けてきた「怨霊譚」は
こうした普通の人々が当然に抱く不安や 怖れが形になったものであろうかと。
監督のザック・ヒルディッチは本作が
長編デビューながら堂々の「キング映画」
をモノにした。
恐らくは映画の道を志した当初から目標と![イメージ 9]()
していた渾身の企画だったことかと。
「これを絶対に映画にするんだ!」みたい
な並々ならぬ執念が感じ取れる。
意固地で閉鎖的な南部男を演じたトーマス・
ジェーンの鬼気迫る怪演も見どころ。
にしてもネットフリックス。
劇場レベルではなかなかペイしにくい中予算
のジャンル映画の良作を続々とリリースして
くれて非常にありがたい限り。
とっかかりの『デス・ノート』はトホホだっ
たけど、これで月額980円とかホントに
イイの?とすら思ってしまう。
↧
October 30, 2017, 2:44 am
BOX OFFICE TOP 10
weekend of October27‐29, 2017
1. 『ジグソウ:ソウ・レガシー』![イメージ 1]()
(ライオンズゲート)
1週目 週末興収$16.3M 総興収$16.25M
※ハロウィンの風物詩『SAW』が帰ってきた!監督は『デイブレイカー』、『プリデスティネーション』のスピエリッグ兄弟。
2. 『タイラー・ペリーズ・ブー!2 ア・マディア・ハロウィン(原題)』
(ライオンズゲート)
2週目 週末興収$10M 総興収$35.5M
※恐らく日本では公開されない&理解不能な類のアメリカンコメディ
3. 『ジオストーム』
(ワーナーブラザース)
2週目 週末興収$5.7M 総興収$23.6M
※ジェラルド・バトラー主演のアルマゲドン系ディザスター映画。監督のディーン・デヴリンはエメリッヒ作品のずっと製作をやっていた人。日本公開は新年第2弾。
4. 『ハッピー・デス・デイ(原題)』
(ユニヴァーサル)
3週目 週末興収$5.1M 総興収$48.3M
※RottenTomato69%、IMDb 6.7/10と意外に![イメージ 2]()
高評価。死んだ日を何度も繰り返すループスリラー的な内容だとか。
5. 『ブレードランナー2049』
(ワーナーブラザース)
4週目 週末興収$3.9M 総興収$81.4M
※泣けた。。まだの方はぜひ劇場へ
6. 『サンク・ユー・フォー・ユア・サーヴィス(原題)』
(ユニヴァーサル)
1週目 週末興収$3.7M 総興収$3.7M
7. 『オンリー・ザ・ブレイブ』
(ソニー)
2週目 週末興収$3.4M 総興収$11.9M
※アツい消防士たちがアツアツの山火事に挑む。監督は『トロン:レガシー』のジョセフ・コシンスキー。出演はジョシュ・ブローリン、ジェフ・ブリッジス、テイラー・キッチュ、ジェニファー・コネリー他。
8. 『ザ・フォリナー』
(STXエンターテインメント)
1週目 週末興収$3.2M 総興収$28.8M
9. 『サバービコン(原題)』![イメージ 3]()
(パラマウント)
1週目 週末興収$2.8M 総興収$2.8M
※監督ジョージ・クルーニー×脚本コーエン兄弟のクライムコメディ。主演はマット・デイモン、他オスカー・アイザック、ジュリアン・ムーア。
10. 『IT:イット"それ"が見えたら、終わり。』
(ワーナー/ニューライン)
8週目 週末興収$1.9M 総興収$323.7M
※11月3日(金)の日本公開を前に話題沸騰中!当ブログでも前にUPしたテレフィーチャ―の記事がやたらとヒットしております。
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October 31, 2017, 3:13 am
原題 "HALLOWEEN : THE CURSE OF MICHAEL MYERS"
製作年度 1995年![イメージ 1]()
製作国 アメリカ
製作 ナイトフォール
ミラマックス
トランカス・インターナショナル
製作費 $5,000,000
リリース 1996年10月25日(ビデオスルー)
上映時間 88分
監督 ジョー・チャペル
脚本 ダニエル・ファーランズ
原案 デブラ・ヒル
ジョン・カーペンター
製作総指揮 ムスタファ・アッカド
製作 メイレク・アッカド
ポール・フリーマン
撮影 ビリー・ディクスン
音楽 アラン・ハワース
ポール・ラブジョンズ
編集 ランディ・ブリッカー
配役 ロス・ブラウン![イメージ 2]()
メアリー・ウェスト
美術 ブライアン・ライマン
衣装 アン・グレイ・ランバート
特殊メイク ジョン・ビークラー
出演
ドナルド・プレザンス:ルーミス
ポール・ラッド:トミー
マリアンヌ・ヘイガン:カーラ
ミッチェル・ライアン:ウィン
デヴィン・ガードナー:ダニー
ジョージ・P・ウィルバー:ブギーマン
鑑賞 2017年10月30日
VHS 字幕(発売元:エスピーオー)
★★☆☆☆
例年ハロウィンとなると職場(繁華街)の周り
がけったいなコスプレで溢れかえるのだけど、
今年は週末が絡まないせいか比較的静かっ
ぽい。
かく言う自分は飲みにも出ず、自室に独り籠っ
て映画『ハロウィン』を観るのが常なのだけど。![イメージ 3]()
というわけで今回は『ハロウィン6』、
所謂「ジェイミー編」のラスト。
ブギーマンもジェイミーも爆死したと思われた
『5』のラストから5年後。
どっこい不死身がウリのブギーマンは死ん
でおらず、ジェイミーもやっぱり死んでいな
かった。
ダニエル・ハリスが降板して、
とてもミドルティーンには見えない女優さんが
「その後」のジェイミーに扮しているのだけど、
とにもかくにもジェイミーが一人の赤ちゃんを
産み落としたところから物語は始まる。
ジェイミーは早々にヌッ殺されるが、
その前に赤ちゃんをどこかに隠していた。
ブギーマン=マイケル・マイヤーズにとって
この赤ちゃんこそが最後の血族。
赤ちゃんの行方を追って、ブギーマンが
またハドンフィールドへと帰って来る―
原題"THE CURSE OF MICHAEL MYERS"。
ジョン・カーペンターが手を引いてから
シリーズを仕切ったムスタファ・アッカドは
マイケル・マイヤーズをどうやらミイラ男や![イメージ 4]()
狼男のようなクラシックモンスターと同義に
考えていたようだ。
多少形は崩れても「ブギーマン」の白マスク
を被せておけば客は来る。
ドルイドの呪いを引っ張り出した辺りなんか
いかにも古めかしいが、こんな風にブギーマ ンの不死を裏付けてしまっては台無しもイイ
ところ。まるで得体が知れないから、止めよ
うがないから「ブギーマン」は怖いのだ。
特殊メイクにモノを言わせてボディカウント
に血道を上げるのも『13金』の猿真似に
過ぎず、痛々しい。(あちらはワンパターン
ながら基本設定に毎回工夫を凝らしていた
と思う)
それにしてもモンスターが追いかけまわす
のはゴージャスな金髪美女というのが相
場だったのに、1作目の青臭い女子大生
からジェイミー編では幼女、そしてここに
至って生後間もない赤ん坊に刃物を振り
回すモンスターてなんなんだ。
やっぱこれも時代なんだろうかね。
一応シリーズ作としては楽しめなくもない。
ジェイミーが決死の思いで公衆便所の備品
箱に隠した赤ちゃんはとある青年に拾われ
るのだけど、この青年トミーというのが1作![イメージ 5]()
目でお向かいに住んでいた喘息少年。
近所では変人扱いされてるけども実はイイ
奴という役どころ。扮するポール・ラッドは
なんか見たことあるなと思ったら『アントマ
ン』のヒトだった。うん、やっぱりイイ奴だ(笑)
そして1作目からのもう一つの顔と言ってい
いルーミス先生。毎度ラストで瀕死の重傷
を負っても次の回にはピンピンしてる。
ある意味こっちもブギーマンに負けない
バケモノです。
今回は「さすがに引退ぢゃよ」とか言ってる
のだけど、先陣切ってブギーマンに向かって![イメージ 6]()
いく雄々しさはまさにヴァンパイアハンター
ならぬ「シリアルキラーハンター」。
ジョン・カーペンターとしてもヴァン・ヘルシ
ング的な役割を担わせていたのは明白だけ
ども、このジェイミー編に関してはルーミスに
扮するドナルド・プレザンスの存在感あって
こそだったと思うわけで。
「わしにはまだまだやることがある」
ラストのセリフ通り、製作陣もこの後ずっと
ルーミス先生にシリーズを引っ張ってもらう![イメージ 7]()
腹積もりであったことでしょう。
が、本作完成後にプレザンスが急逝。
文字通り「最後の戦い」となってしまった。
つくづく、ロブ・ゾンビのリメイクまでご存命
であったらと思うと悔やまれてならない。
(マルコムも悪くないけどさ)
不滅のキラーハンターに合掌。
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November 3, 2017, 1:16 am
原題 "BLADE RUNNER 2049"![イメージ 1]()
製作年度 2017年
製作国 アメリカ、イギリス、カナダ
製作 コロンビア・ピクチャーズ
アルコン・エンターテインメント
スコット・フリー・プロダクションズ他
製作費 $150,000,000
国内配給 ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメント
日本公開 2017年10月27日
上映時間 164分
監督 ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本 ハンプトン・ファンチャー
マイケル・グリーン
原案 フィリップ・K・ディック
製作総指揮 リドリー・スコット
ビル・カラーロ
ティム・ギャンブル他
製作 ブロデリック・ジョンソン
アンドリュー・A・コソヴ
バッド・ヨーキン他
撮影 ロジャー・ディーキンス
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ
ハンス・ジマー![イメージ 2]()
編集 ジョー・ウォーカー
配役 フランシーヌ・マイスター
ルシンダ・サイスン他
美術 デニス・ガスナー
衣装 レネ・エイプリル
出演
ライアン・ゴズリング:K
ハリソン・フォード:デッカード
アナ・デ・アルマス:ジョイ
シルヴィア・フークス:ラヴ
ロビン・ライト:ジョシ警部補
デイヴ・バウティスタ:サッパー
ジャレッド・レト:二アンダー
ショーン・ヤング:レイチェル
鑑賞 2017年10月28日
仙台東宝シネマズ IMAX-3D 字幕
★★★★☆
再見 2017年11月1日
仙台東宝シネマズ 字幕
★★★★★
自分が映画『ブレードランナー』を劇場で
観たのは16になったばかりの夏だった。![イメージ 3]()
正直、ぜんぜん面白くはなかった。
同時期にやってた『ポルターガイスト』の
方が数百倍面白いと思った。
月刊スターログなんかでは絶賛されていた
けども、まったく理解できなかった。
「駄作じゃないか」とか、平気で言ってた
気がする。
そもそも16そこそこのハナタレ小僧に
理解が及ぶ類いの映画ではなかったのだと
今にして思う。
その後もディレクターズカットやら最終版
やら幾度となく目にする機会があり、
その都度年齢を重ねるにつれ少しづつ本作 の良さが分かるようになってきた。
"like tears in rain…"
あの厳ついルトガー・ハウアーの
最後の独白に涙するくらいにはなっていた。
今となっては決して「面白い」わけではない
けども、リスペクトすべき偉大な作品である
ことに異存はない。
そんな「金字塔」の再映画化。
「大丈夫か?」というのが
大方の本音だったんじゃないだろか。
自分のような不真面目なファンですらそう
感じたのだから、真摯なマニア層なんかは![イメージ 4]()
相当気を揉んだことだろう。
しかも監督はリドリー・スコットでなく、なん だかF1レーサーみたいな名前のカナダ人。
なんたる無謀。なんたる蛮行。
ハードルがとてつもなく高すぎる。
そしてそのことは監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
自身が誰よりも痛感していたはず。
いくら頑張ってもオリジナル版と比べられ、
世界中の口うるさいファンや評論家連中から
叩かれまくるのだ。
もっともこの才能豊かなカナダの俊英を
当初から認識していた向きからすれば
「あいつなら期待していい」みたいな意見も
多かったとか。
そしてヴィルヌーヴもリドリー・スコット
から直々に「好きにやっていいよ」と
丸ごと下駄を預けられたその時から
「やれる。やってやる」と勝算らしきものが
見えていたんじゃないだろか。
増してや私と同じ年頃にオリジナルに触れた
であろうヴィルヌーヴに、これほどの栄誉を
辞す選択肢はなかったかと。
果たして、2049年、
空を飛び交うスピナーはモデルチェンジを
経てスリムなボディがトレンドの模様。![イメージ 5]()
街頭アドは電光掲示板から立体ホログラフに
様変わり。晩飯の屋台に意固地なオヤジは
立ってなく、全て手軽な自動販売機だ。
ハウスキーパーはAI搭載の恋人仕様。
ちなみに携帯アタッチメントで一緒にお出
かけも可だ。しかしこんなのがホントに普及
したら結婚しないやつが続出しそうだぞ。
前作から30年の間にアップデートされた、
地続きの世界観に感激した。
最も変わっていたのは人間とレプリカントの
立ち位置。人間は相変わらずこの世の主だが、
その数は圧倒的にレプリカントの方が多い。
人間は建物の中に籠り、あらゆる生活の仕 組みをレプリカントの労働力に負っている。
甚だ絵空事のように感じるが、ここ十数年で
なんでもかんでもケータイの類にやらせて
しまうようになってしまった人間の暮らし
ぶりを思うと、あながちファンタジーとも
言い切れない。
そして旧式のレプリカントを「解雇」する
危険な業務もレプリカントの仕事。
主人公はこの人造のブレードランナー。
呼び名の「K」は名前ではない、製造番号の
頭文字だ。![イメージ 6]()
前作は人造人間に生まれた自我を飽くまで も人間の目線から見つめたものだったが、
今回は自らに生まれたアイデンティティが
「生まれたもの」なのか、それとも「作られ
たもの」なのかを問う自分探しの旅。
とにもかくにもライアン・ゴズリングが
素晴らしい。
終始作り物の様な佇まいでありながら、
そのバランス悪く歪んだ瞳の奥から
もがき苦しむような寂しさややり切れない
怒りがありありと伝わって来る。
自分は望まれて生まれたのではないのか。
これまで自分が見てきたもの、感じてきたも
のが紛れもなく自分のものであると、誰かに
植え付けられたものではないと確かに言い
切れるのか。
それは他でもない、現代に生きる私たちが
日頃感じる虚しさや孤独と同じだ。
前作から30年、『ブレードランナー』で
描かれた世界はずっと私たちの現実に近づ
いて来ている。
使い古しの近未来をイギリス人のリドリー・
スコットはじとじとの雨模様で描いていたが、
30年の間に地球は寒冷化が進んだのか、
カナダ人のヴィルヌーヴはこれを寒々しい
雪景色にして見せた。![イメージ 7]()
「綺麗でしょう?」
うん。綺麗すぎて、涙が止まらなかった。
オリジナルと比べるまでもなく、
また新たな傑作が生まれたと言いたい。
「ブレードランナーが好き」と言えば
「オリジナル?それとも2049の方?」
近い将来、当たり前のように聞かれるような
立ち位置になると思う。
↧
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November 6, 2017, 7:10 am
原題 "GREEN ROOM"![イメージ 1]()
製作年度 2015年
製作国 アメリカ
製作 ブロードグリーン・ピクチャーズ
フィルム・サイエンス
製作費 $5,000,000
国内配給 トランスフォーマー
日本公開 2017年2月11日
上映時間 95分
監督、脚本 ジェレミー・ソルニエ
製作総指揮 ダニエル・ハモンド
ゲイブリエル・ハモンド
ヴィンセント・サヴィーノ
製作 ニール・コップ
ヴィクター・モイヤーズ
アニシュ・サヴィアーニ
撮影 ショーン・ポーター
音楽 ブルック・ブレア
ウィル・ブレア
編集 ジュリア・ブロック
配役 アヴィ・カウフマン
美術 ライアン・ウォーレン・スミス
衣装 アマンダ・ニーダム
出演![イメージ 2]()
アントン・イェルチン:パット
イモージェン・プーツ:アンバー
ジョー・コール:リース
アリア・ショウカット:サム
カラム・ターナー:タイガー
メイコン・ブレア:ゲイブ
パトリック・スチュワート:ダーシー
鑑賞 2017年11月4日
DVD 字幕(発売元:ハピネット)
★★★★☆
私は基本「ウルさい」音楽が好きなので
ヘビメタもパンクも嗜むが、両方触れてみて
思うのだけど、ヘビメタさんは意外に物腰の
柔らかい常識人が多いのに対し、パンクスは
シンプルに挑発的&意味不明。
もちろんそれがパンクスとしてのスタイルで
あって、打ち解ければイイ部分も見えてくる
んだろうが、やっぱり怖いもんは怖い。
なのでヘビメタさんだらけのライブハウスに
行くのは吝かじゃないが、パンクスばっかの
ライブハウスはちと遠慮したい。![イメージ 3]()
さて。この『グリーンルーム』は
そんなパンクスさんたちにあった怖いハナシ。
売れないパンクバンド「ジ・エイントライツ」
(日本語に訳すと「そうじゃねえよバンド」
と言ったところか)は
「確実にギャラがもらえて、メシも出る」
とウマい話に乗せられ、
とある僻地のライブハウスに出向いていく。
果たしてそこはコワモテのスキンヘッズで
いっぱい!
もちろんこんなのでビビる彼らじゃない。
「ナチのクソがパンク聴いてんじゃねーよ!」
しょっぱなにデッドケネディーズの名曲を
カマせば大盛り上がり。が、よくよく見ると
明らかに怒ってる客もチラホラ。
そう。その箱はただのライブハウスではなく、
ネオナチ一派の巣窟になっていたのだ。
不穏な空気の中で演奏を終え、控室へ戻る
メンバー。するとそこにはどういうわけか
一体の死体。え、どゆこと…?
そこに駆け付けたライブハウスのマネージャ
ーが控室の扉を閉ざし、やにわに物々しい![イメージ 4]()
雰囲気になって来る。
「俺たちは何も見てない。何も喋らない。」
そう訴えても全く聞き入れてもらえない。
やがてネオナチのおエラいさんが扉の向こう
にやって来て、「お前らをこのまま出すわけ
にはいかん」とか言い出す。
もしや俺らは殺されてしまうのでは?
ここであんな生意気な歌を歌ったせいで…??
「プラクティカル・エフェクト」(※特殊メイクの
ことを最近はこう言うんだってさ)の
バイオレンス表現がものスゴイと聞いて
手に取ったのだけど、首スポーン!とか
ハラワタどばーっ!といった所謂「切株」とは
全く趣を異にしていて、思わず「うわっ!」と
目を背けそうなリアルで生々しい代物。
飽くまでも無慈悲で荒々しい「暴力」の現実を
描くのが目的であったと思われ。
なのでお話の方も、クソ生意気なパンクスの
ガキがネオナチの「ホンマモン」を怒らせて
しまって散々…とか、スカッとジャパンみた
いな紹介のされ方を一部で見かけるけども、
ちょっと違う。
ネオナチの皆様はパンクスの歌に怒ったの![イメージ 5]()
ではなく、バカなパンクスのせいで警察が介
入しそうになったから控室に閉じ込めたのだ。
つまらん殺傷沙汰なんかのお陰で警察を中
に入れてはいけない「理由」があったのだ。
状況を上手く収められれば、パンクスを殺す
までもなく口を封じて帰すことも出来たはず。
が、ネオナチを怒らせてしまったとビビりまく
りのパンクスたちは勝手に自己防衛本能を
募らせ反抗の限りを尽くす。そして遂には
ネオナチの皆様がひた隠しにしていた重大
な「秘密」を知ってしまう。
無学な私は、ネオナチというのはヒトラーの
政治思想を色濃く受け継いだ秘密結社みた
いなものと思っていたのだけど、実際のとこ
ろはドイツ云々関係なしに反社会的反政府
的な声明を御旗に暴力行為に及ぶ集団が
世界各地に点在しているものらしい。
パンクは全ての既成概念にNO!を突きつ
ける音楽だから、これらネオナチの間でも
パンクに傾倒する人は多いとか。
この映画のようにネオナチの危険思想を
「所詮はパンクスの言ってることですから。」
とライブハウスを隠れ蓑に使うというのも
なかなかありそうな話ではある。
バカで生意気なパンクスに紛れ込んで
コソコソとお上の目を逃れては
ヤクザまがいの裏稼業に手を染める。
思想もクソもあったもんじゃない。
結局は「死にたくない」の一心でハラを括った
パンクスにイイようにやられてしまう情けなさ。
「ホンマモン」でもなんでもない。
こんなの、そこらのパンクスと大差ないよ。と
痛烈にバカにし倒したのがこの映画と思う。
「無人島に1枚だけCDを持って行きたいバンドは?」
はじめはミスフィッツとかダムドとか
それなりにカッコつけてた兄ちゃんたちが、
切羽詰まるにつれてサイモン&ガーファンクル
とかマドンナとか、だんだんクソダサな本音を
晒す様に思わず遠い目。
ラスト。
全然パンクに見えないアントン・イェルチンの
盛大なスベリっぷりと、イモージェン・プーツ
の絶妙なリアクションにプラス1。
↧
November 9, 2017, 2:17 am
原題 "IT"![イメージ 1]()
製作年度 2017年
製作国 アメリカ、カナダ
製作 ニューライン・シネマ
ラットパック-デューン・エンターテインメント
リン・ピクチャーズ
ヴァーティゴ・エンターテインメント
製作費 $35,000,000
国内配給 ワーナーブラザース
日本公開 2017年11月3日
上映時間 135分
監督 アンディ・ムスキエティ
原作 スティーヴン・キング
脚本 チェイス・パーマー
ケイリー・フクナガ
ゲイリー・ドーバーマン
製作総指揮 リチャード・ブレナー
ウォルター・ハマダ
トビー・エメリッヒ他
製作 セス・グレアム=スミス
ロイ・リー
ダン・リン他
撮影 チョン・ジョンフン
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ![イメージ 2]()
編集 ジェイソン・バランタイン
配役 リッチ・デリア
美術 クロード・パレ
衣装 ジェイニー・ブライアント
出演
ジェイデン・リーバラー:ビル
ジェレミー・レイ・テイラー:ベン
ソフィア・リリス:ベヴァリー
フィン・ウォルハード:リッチー
チョーズン・ジェイコブズ:マイク
ジャック・ディラン・グレイザー:エディ
ワイアット・オレフ:スタン
ビル・スカルスガルド:ペニーワイズ
鑑賞 2017年11月6日
仙台TOHOシネマズ 字幕
★★★★☆
全米興収が$3億を超え、
あの『エクソシスト』の記録を抜いて
「ホラー映画史上ナンバーワン!」と
話題沸騰中のこの映画。
もっとも、一応言っておくと
『エクソシスト』が封切された1974年は![イメージ 3]()
映画の料金も当然現在よりずっと安い。
『エクソシスト』の記録$2億3千万というのは
現在の価格レートに換算すれば$9億8千 万と、相変わらず気の遠くなるような大記録
になってしまうわけで。(※ちなみにレート
換算上の歴代1位は『風と共に去りぬ』の
$18億で、『エクソシスト』は9位だそうな)
ただそれでもこれだけレジャーが多様化した
現在に於いて、R指定のホラー映画がこれ
ほどの動員を記録してしまうのはやはり凄
いことで。「スティーヴン・キング」のブランド
力が依然として健在であることを再認識し
た次第。
日本でも先週末の封切から順調に客足を
伸ばしているようで、自分が観に行ったの
は月曜のレイトだったのだけど、200席の
箱がほぼ満席。
自分みたいなスレッカラシのマニアだけ
じゃなく、普段映画なんか見なさそうな
若いお兄ちゃんお姉ちゃんでいっぱい。
それと心臓大丈夫ですか?と思うような
ご年配の方も意外に多かった。
「ホラーは独りで」がモットーの自分だが![イメージ 4]()
こんなのもやっぱりイイね。久しぶりに
沢山の悲鳴やらポップコーンの香りに
包まれながらホラーの醍醐味を堪能したよ。
ただなんとなく当初から心配していたのだけど、上映中の反応がイマイチ盛り上がらず。
2時間超という長尺もあってか、
途中から明らかに飽きた観客がケータイを
ピカピカさせ出した。
エンドロールが流れ出した時、隣のお兄ちゃ
んがいかにもモノ足りなそうに言った。
「もっとオドロオドロしいのかと思ってた」
そう。彼らは「ホラー史上最凶のトラウマ映画」
のコピーを額面通りに受け取り、ガチで怖がり
に来ていたのだ。恐らくは原作者の名前すら
知らなかったんじゃなかろうか。
「ホラーの帝王」スティーヴン・キングの
知名度は日本でも低くはないが、それでも
その小説を読んだことがあるという割合は
そんなには多くない。一部のモノズキ向けの
「ジャンル作家」と言っていい。
が、アメリカでは違う。
そこそこ「挿絵のない本」を嗜む程度の人間
なら本棚に2、3冊くらいは当たり前に持っ
ている類の作家さんだ。日本で言ったら村上![イメージ 5]()
春樹とかそんな感じの立ち位置だろか。
勿論好き嫌いで読まない人もいるだろうが、
スティーヴン・キングがどんな話を書く作家
なのか、そしてその集大成とされる「イット」
の内容なんかは知ってて当然。つまりは彼ら
にとっては「日常」の一部と化している。
そしてキングの小説自体がアメリカの一般的
な日常、そこに暮らすごくごく普通の人々が
常日頃感じている不安や怖れをテーマに描 いている。自分たちの生活に密着した恐怖。
こうした共有意識が異例の大ヒットに繋がっ
たであろうことは想像に難くない。
恐怖の立役者はもちろん悪魔のピエロ
「ペニーワイズ」。
本来は笑いを誘う陽気な存在であるピエロに
不気味なものを感じる向きは、バットマンの
ジョーカーの例もあるように古い時代からあ
ったのだろうが、実際に映像作品やコミック
等でホラー的なアイコンとして取り扱われる
ようになったのは、本作の前身たる90年
製作のテレフィーチャ―からだ。
ここで伝説の異相役者ティム・カリーが演じ
たペニーワイズの禍々しさがあまりに強烈で、
その後マクドナルドでドナルドを見ると泣き
出す子供が続出したとか。
そしてこのペニーワイズには実在のモデルが![イメージ 6]()
いた。70年代の連続殺人鬼ジョン・ゲイシー
は6年間の間に33人もの子供を殺したが、
普段は勤勉な実業家であり、祝日にはピエロ
の扮装をして子供たちを楽しませていたた め、「キラークラウン」と呼ばれたとか。
ドス黒い悪意をその化粧の裏に秘め、子供
を取って食う悪魔がこの世には本当にいる
のだと。
「それ」はいろいろな姿で現れる。
暴力的な父親やノイローゼの母親、欲求不満
を抱えた教員、果ては毎日挨拶を欠かさない
隣人や見ず知らずの配管工すら、突如として
悪魔に化け得る現実をキングは"IT"として
描いたのだ。(同時期にブギーマンの仮装を
した「誰か」が人を殺して回る映画『ハロウ
ィン』が生まれたのは決して偶然ではない)
アメリカでは誕生パーティや学校の行事等に
やって来るピエロは日本人の私達が感じる
よりもずっと身近な存在だ。だからこそ、
ピエロの不自然に張り付いた笑顔にとてつも
なく邪悪なものを感じてしまうのだ。
総じては良く出来た映画化と言っていいかと。![イメージ 7]()
あの片手で持てないくらい重かったハード
カバーで2冊、ものすごいボリュームの小説
をよくここまで纏めたもんだと思う。
「子供編」「大人編」と、原作では交差して
いた時系列を大胆に分けた構成もすごく良 かったと思う。
ただオールタイム級のホラー小説の良く出来
た映画化ではあるけども、オールタイム級の
ホラー映画では決してない。
最終的な評価は2年後の『チャプター2』を
待つべきとは思うが、ちなみにテレフィーチ
ャ―版では後半の大詰めクライマックスで
なんともショボいケチが付いて失敗した。
今度はそれなりの予算が組まれるだろうから、
同様のオチを迎えないようお願いしたい。
↧
November 11, 2017, 4:32 am
原題 "THE AUTOPSY OF JANE DOE"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 イギリス、アメリカ
製作 アイム・グローバル
インポスター・ピクチャーズ他
国内配給 松竹
日本公開 2017年5月20日
上映時間 86分
監督 アンドレ・ウーヴレダル
脚本 イアン・ゴールドバーグ
リチャード・ナイン
製作総指揮 スチュアート・フォード
マット・ジャクソン
スティーヴン・スキランテ
製作 ローリー・エイトキン
フレッド・バーガー
エリック・ガルシア他
撮影 ロマン・オーシン
音楽 ダニー・ベンシ
ソンダー・ジュリアーンズ
編集 ピーター・グウォザス
パトリック・ラーシュゴード
配役 エレイン・グレンジャー
美術 マット・ガント![イメージ 2]()
衣装 ナタリー・ウォード
特殊効果 セブ・バーカー
クリスティアン・マレット
出演
エミール・ハーシュ:オースティン
ブライアン・コックス:トミー
オフィリア・ラヴィボンド:エマ
マイケル・マケルハットン:保安官
オルウェン・ケリー:ジェーン・ドゥ
鑑賞 2017年11月9日
DVD 字幕(発売元:松竹)
★★★★☆
ヴァージニアの田舎町で代々葬儀屋を
営むティルデン家。
父トミーはベテランの検死医であり、
その息子オースティンも優秀な助手として
家業を切り盛りしていた。
が。共に家業を支えていた母が2年前に
この世を去ってから、オースティンは家を
出ることを考えていた。このまま死に囲ま![イメージ 3]()
れて生き続けるなんてまっぴらだ。
いつの日か。恋人のエマを連れて、
違う町で日の当たる暮らしを送りたい。
-そう、母が望んでいたように。
そのことを、この仕事に並々ならぬプライド
を持つ父に言い出せずにいた。
そんな折、ティルデン邸に一体の女性の
遺体が運び込まれて来る。
身元は不明。
こうした業界の通例として身元不明者は
男だったら「ジョン・ドゥ」と仮の名前が![イメージ 4]()
付けられ、女性だったら「ジェーン・ドゥ」
となるらしい。
日本語で言えば「名無しの権兵衛」と
言ったところか。
ちなみに『セブン』のケヴィン・スペイシー
扮するシリアルキラー、ジョン・ドゥは
ここから来たネーミングであり、
スティーヴン・キングの作品に頻出する
殺人鬼ジョン・ドッドもこのモジリである。
一家惨殺の現場となった、一軒家の床下![イメージ 5]()
から発見された女性の遺体。
家の持ち主とは何の関連もなく、
警察もまるで手掛かりがつかめない。
この「ジェーン・ドゥ」は一体誰なのか?
そしていつ、なぜ、どのように死んで、
この場所に埋められたのか?
その真実を探るため、このジェーン・ドゥ
に父子はメスを入れることになるのだけど、
外観から心臓や肺、臓器、そして脳と
解剖を進めて行くうちにどんどんと不可思
議な所見が発見される。
左右の手足は複雑に骨折をしており、
舌は切り取られ、肺は炙ったように真っ黒け、
臓器は刃物で切り付けられた様に傷だらけ。
それでいて皮膚には傷ひとつないのだ。
「これはただの死体ではない。」
そう気づいた時、所内の電灯がことごとく
破裂し、闇が訪れる。
とにかく解剖シーンの精巧な作り込みに目を![イメージ 6]()
見張る。製作陣は実際に警察の検死施設で
入念な取材をして臨んだとか。
単に特殊メイクのみならず、施設内の様子
などしっかりリアリティを追求してきたの
がよく分かる。こういう部分で手を抜くと
一気に興ざめしてしまうことを作り手は
重々分かっていたのだと思う。
確かに凄惨極まりない光景ではあるが、
不思議とゲテモノを見てる感はあまりない。
飽くまでも彼らはこの解剖を検死と言う
生業として行っているわけで、猟奇的な
意思が一切ないからだ。
「エグい解剖シーンを見せてどうだ!」とか、
そういうゲスな映画ではないのだ。
逆にそうした死体に対する後ろめたい思いや
鬱屈した感情を、この映画は巧みに恐怖へと
結びつける。
出だしに不釣り合いなポップナンバーを被せ、![イメージ 7]()
その後父子がマジメに検死の問答を交わす
シーンもそういうこと。
アングルや照明の具合で絶妙にエグく見せ
ない工夫も心憎い。
監督アンドレ・ウーヴレダルは
あの『トロール・ハンター』のヒト。
てっきりどこかで意地悪く笑かしに来るか
と身構えていたのだけど、今回そう言った
まやかしの類は一切ナシ。
確かな映像センスと緻密なリアリティで
じわじわと怖がらせにかかる、
全う至極の良作ホラーになっていると思う。
「ネクロホラー」のコピーから変態向けと
敬遠してる方には是非おススメしておきたい。
(※そんでもずいぶんグロいけどね)
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November 14, 2017, 6:23 am
原題 "SPLIT"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 アメリカ、日本
製作 ブラムハウス・プロダクションズ
ブラインディングエッジ・ピクチャーズ
電通他
製作費 $9,000,000
国内配給 東宝東和
日本公開 2017年5月17日
上映時間 117分
監督、脚本、製作 M・ナイト・シャマラン
製作総指揮 ケヴィン・フレイクス
バディ・パトリック
アシュウィン・ラジャン
製作 ジェイソン・ブラム
マーク・ビーンストック
撮影 マイケル・ジオラキス
音楽 ウェスト・ディラン・ソードソン
編集 ルーク・チアロッチ
配役 ダグラス・エーベル
美術 マーラ・ルペア=シュループ
衣装 パコ・デルガド
出演![イメージ 2]()
ジェームズ・マカヴォイ:デニス、パトリシア、ヘドウィグ、ビースト、ケヴィン、バリー、オーウェル、ジェイド
アニャ・テイラー=ジョイ:ケイシー
ベティ・バックリー:フレッチャー先生
ヘイリー・ルー・リチャードソン:クレア
ジェシカ・スーラ:マルシア
イジー・コフィー:ケイシー(5歳)
ブラッド・ウィリアム・ヘンケ:ジョン叔父さん
セバスティアン・アーセラス:ケイシーの父
M・ナイト・シャマラン:フーターズ好きの男
鑑賞 2017年11月13日
Blu-ray 字幕(発売元:NBCユニヴァーサル・ホームエンターテインメント)
★★★★☆
世の中にはシャマラー(シャマラニストと
も言うらしい)と呼ばれる、M・ナイト・
シャマランの映画をこよなく愛する
コアなファン層が存在する。
シャマランと言えばなんと言っても
『シックス・センス』であって、
「あのどんでん返し」に比べると
後はイマイチ…というのが
世間一般的な見方になってしまったけども、![イメージ 3]()
「オレは好きなんだけどねえ。すごく」
そんな一般ピープルの蒙昧ぶりを尻目に
シャマラン作品をずっと追いかけ続け、
その奇想やトリックの類には留まらない
面白さを真摯に見出してきた人達である。
かく言う自分はシャマラーではない。
取り敢えず『シックス・センス』は観たが、
やはり世間一般の風評に踊らされてか
その後「シャマラン監督最新作」とか言わ
れてもほとんど手に取ることはなかった。
昨年復活を謳われた『ヴィジット』は
なかなか面白かったが、あれもシャマラーの
方々に言わせれば「わりと一般寄り(薄笑)」
な仕上がりなんだそうで。
そんなこんなの門外漢ぶりなので、
私がなんの予備知識もなしにこの映画を
手に取ってしまったのは必然。
ズバリ、この映画すごく面白かったのです。
やっぱり「シャマラン復活」はダテじゃな
いと、レビューでも★5を付ける気満々で
ずっと観てたわけで。
が、しかしラストに至って
「え。。。。ど・ゆ・こ・と???」
全くもって意味が飲み込めず。![イメージ 4]()
「あいつ」の顔が出た時点で、
ハハアこれはもしやシャマラン監督の
セルフパロディかなんかと気付いたのだけ ど、その元ネタを観てないので意味が分か
らない。
なんともモヤモヤした気持ちを抱えながら
エンドロールを迎えてしまった。
鑑賞後即座にこの映画のレビューを調べて
みたら、やはりあのラストはとあるシャマ
ラン作品が関係していたらしい。
そしてこれこそが本作『スプリット』最大の
衝撃オチであったというのだ。
熱心なシャマラーの方々に於いては
「シャマラーで良かったー!」
歓喜の気持ちで一杯だったんじゃない
だろか。
にしても、長いこと自分を応援してくれた
ファンに対して、なんとも最高のお返しを
するもんだ。
聞けば。町山智浩さんがこの映画を観る前に
元ネタの映画について明言はしないものの![イメージ 5]()
「〇と×と△は観といたほうがイイ」と
ツイートしたところ、「ネタバレすんじゃ
ねえよ!」とえらく叩かれてしまったとか。
シャマラーならまだしも、門外漢の自分と
してはこのツイートをもっと早く目にして
おきたかった。
とりあえずは2年後の最新作までに、
シャマラン映画を一通り見倒しておこうかと。
↧
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November 16, 2017, 6:57 am
原題 "THE BAD BATCH"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 アナプルナ・ピクチャーズ
ヒューマン・ステュー・ファクトリー
リール・シェフス・キャタリング
ヴァイス・フィルムズ
製作費 $6,000,000
国内配給 ネットフリックス
配信開始日 2017年9月22日
上映時間 118分
監督、脚本 アナ・リリー・アマポーア
製作総指揮 ミーガン・エリスン
エディ・モレッティ
シェーン・スミス
製作 ダニー・ガバイ
シナ・サイヤー他
撮影 ライル・ヴィンセント
編集 アレックス・オフリン
配役 ジャスティン・バッデリー
キム・デイヴィス=ワグナー
美術 ブランドン・トナー=コノリー
衣装 ナタリー・オブライエン
出演
スキ・ウォーターハウス:アーレン![イメージ 2]()
ジェイソン・モモア:マイアミマン
ジェイダ・フィンク:ハニー
キアヌ・リーヴス:ザ・ドリーム
ジム・キャリー:隠者
ジョヴァンニ・リビシ:叫ぶ男
鑑賞 2017年11月15日
ネット配信(ネットフリックス)字幕
★★★★☆
『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女』
で一躍注目を浴びた女性監督、
アナ・リリー・アマポーアの最新作。
いつとも知れぬ近未来。
不良少女アーレンは"BAD BATCH"(不良種)
に指定され、フェンスで仕切られた荒れ地の外に追い出されてしまう。
「この先の区域については住民のいっさいを![イメージ 3]()
アメリカ国民と認めません 政府」
ふん。あんな国、逆に追い出されてせい せいすらあ。
不敵な面構えで荒野を歩き始めるが、
速攻でマッチョの人食い部族に捕まり
左手と左足を喰われてしまう。
ただこんな状況で凹たれる不良種ではない。
スキを見て屠殺人のババアを殴り殺し
脱出に成功する。
―ザ・ドリーム「夢」を探し出せ
目指すは「快適の街」コンフォートー
片腕片足の不良少女はスケボーに乗っかり、
無人の荒れ地を進んで行く。
『ザ・ヴァンパイア』は
オールモノクロで全編ペルシア語、
ジム・ジャームッシュ+マカロニテイスト
というなんとも奇天烈なヴァンパイア映画
だったが、今度もなかなかの斜めっぷり。
設定としては『怒りのデス・ロード』を
『ニューヨーク1997』の枠で囲った風な
ディストピアものなのだけど、![イメージ 4]()
不具者やジャンキーの類がひしめき合い、
腐臭漂う退廃した世界観は
明らかにホドロフスキーの『エル・トポ』だ。
それでいて映像にポップなアクセントが
利いていて、選曲のセンスもえらくイイ。
(冒頭のエイス・オブ・ベイスに懐かし
すぎて泣けた)
一際カルトに振り切ったタランティーノ
映画と言うべきか。
もっともタランティーノの場合はあまりに
シネフィルらしい映画愛が作品の根幹を
成しているけども、この人の場合は
そこにプラス、イラン系移民ならではの
アメリカ社会に対するシニカルな視点が
大きなファクターになっている。
そもそもテキサスにフェンスこしらえて
「向こう側はヨソモンの住処ですから」
って、それ完璧メキシコのことだよね。
…ということはもしや、やはりメキシコで
作られた『エル・トポ』もそういうことを
言いたかったりしたんだろか。
いずれにせよ、昨年のトランプ政権に至る
世の中の空気が本作の世界観に流れ込んで
いたであろうことは想像に難くない。![イメージ 5]()
それでいてドストレートなラブストーリー
なのだコレが。
タランティーノ・リコメンド風に言えば
『片腕不良娘ミーツ人食いマッチョマン』。
女性の監督さんというとなにかにつけて
繊細な優しさだったり逆にドラスティック
過ぎてドン引きな感性が「女性ならでは」
みたいな評価をされがちだけども、
こういった男では逆立ちしてもマネできな![イメージ 6]()
いカッコよさというのも、やっぱりあると
思うわけで。
前作はほぼ無名キャストだったけども、
今回はなにげに豪華。
主演のスキ・ウォーターハウスは
『高慢と偏見とゾンビ』で美人姉妹の
3番目だか4番目だった子。一見アイドル風
なのに血まみれウンコまみれクスリまみれ、
義足をハメた片脚でギクシャク歩く姿に
ギャップ萌え必至。
既に『アクアマン』が決まっていたジェイ
ソン・モモア、ジョヴァンニ・リビシに
ジム・キャリー。しかも使い方が贅沢。
極めつけは我らがキアヌが真打のクソ野郎
で登場。その名も「ザ・ドリーム」!
一昔前のポルノスターみたいなイデタチに
シビれました。前作を観ていち早くオファー
を申し出たというキアヌさん、相変わらず
仕事の選び方が渋すぎます。
↧
November 18, 2017, 3:05 am
原題 "BITE"![イメージ 1]()
製作年度 2015年
製作国 カナダ
製作 ブラックフォーン・フィルムズ
ブレイクスルー・エンターテインメント
製作費
上映時間 88分 監督、製作、原作 チャド・アーチボルド
脚本 ジェイミー・ラフォレスト
製作総指揮 ナット・エイブラハム
ティム・ブラウン
アイラ・レヴィ他
製作 コーディ・カラハン
クリストファー・ジルー
撮影 ジェフ・メイハー
音楽 ステフ・コープランド
編集 ニック・モンゴメリー
配役 アシュリー・ハリハン
美術 ヴィンセント・モスコウェック
VFX メイソン・デルシエ
モイラ・ガー
アリアナ・ロバーツ
出演
エルマ・ベゴヴィッチ:ケイシー
アネット・ウォズニアック:ジル![イメージ 2]()
デニース・ユエン:カーステン
ジョーダン・グレイ:ジャレッド
ローレンス・デンカーズ:ケネディ夫人
バリー・バーンバーグ:マシスンさん
鑑賞 2017年11月17日
DVD 字幕(発売元:エクリプス)
★★★☆☆
結婚式を翌週に控えたケイシーは
友人と女3人でコスタリカのビーチに
やって来た。
最後の独身時代を女だけでハメを外して
遊び倒そう!という趣旨である。
散々酔っぱらって現地ボーイを相手に
はしゃぎ回っているうち、お約束の
マリッジブルーというやつがやって来た。
このまま結婚しちゃってイイんだろか。
カレシはもう子供を作る気満々だけども、
アタシは決してそうじゃない。
子供抱えて家の中に縛られるなんてまっ
ぴら。
まだまだ遊び足りない。身軽でいたい。
カレシのお義母さんも超イケ好かないし。 ![イメージ 7]()
「息子を騙くらかした淫売娘」とか
面と向かって言ってくる。
…まあ、全否定はできないけどね(笑)
そしていよいよ明日は帰国という日。
最後にとっておきの思い出を作りたいと、
ケイシーたちは現地人しか知らないという
森の奥の秘境スポットへと繰り出して行く。
幻想的な景色の中で水遊びに興じていた![イメージ 3]()
その時、ケイシーは水中にいた「なにか」
に腰のあたりを刺されてしまう。
そう言えば自分も新婚旅行でバリに行った時、洗面所で瑠璃色に光るけったいな羽虫
につい触れてしまい、その後指先が倍ぐらいに腫れてえらく肝を潰した覚えがある。
見ず知らずの異国の地、殊に南国なんかで
正体不明の生き物に傷を負わされてしまうと
いうのは、それはそれは空恐ろしい体験な
わけで。![イメージ 4]()
本作はそんな南国の虫に刺されてしまった女
が、身体に恐ろしい変調をきたすオハナシ。
まず帰国後、刺された箇所がぐじゅぐじゅと
化膿して、なんか食べてもすぐに戻してしまう。やがてぐじゅぐじゅが体全体に広がり、
髪の毛はごっそり抜け落ちて爪も長いカギ
爪に生え変わり、しまいには尻尾の生えた
全身ヌルヌルのバケモノと化していく。
洗面台の前で己の体の変異に怖気を振るう、![イメージ 5]()
『ザ・フライ』系のボディホラーなのだけど、
ここにプラス、夥しい量の卵を口からゴボゴ
ボ吐き出す、増殖ホラーの様相を呈していく。
この卵というのがゼリー状の赤いツブツブで、
日本人の目にはイクラみたいで旨そうに見え
ないこともないのだけど、よく見るとその中で
虫の赤ちゃんがモゾモゾしてたりしてオエッ!
なんである。
「子供なんかいらない!」と自由気儘なビッチ
暮らしを謳歌していた女が、転じて数億もの
卵を産まされてしまう皮肉。
親切な友達が病院に行こうと言っても
母性本能が働いてしまうのか、女は卵が並ぶ
部屋から出ることができない。
やがては部屋に立ち入る者達に次々と牙を 向けるに至る。
総じて平均的なクリーチャーホラーと言って
いいと思うのだけど、果たして「中身」は
とっくの昔からバケモノだったのでは…?
カナダの作り手らしくクローネンバーグ映画
に相通じる底冷えするような空気感と、
生理的嫌悪を容赦なく突く描写が印象的。
産卵の描写なんかは口から吐き出すんでは
なく、それこそ想像シーンであったように
股間からぶりぶり産んだ方がよけいキモチ
悪かったと思うのだけど。(もしくはクローネ
ンバーグみたいにデキモノの中からモリモリ
産まれたり、とか…おお、思わず書いてて
サブイボが立ってきた)
それから惜しむらくはヒロインの残念ぶり。![イメージ 6]()
『スピーシーズ』然り、『スリーデイズ・
ボディ』然り、こういうのはそれなりに
ハイクオリティの美女が露出高めでやるから
観てる方は思わず前のめりになるもんなのに、これではただエゲツないもんを見せられ てる感じしかしない。
まず、こんな役を引き受ける女優さんも
なかなかいないんだろうけどさ。
↧
November 20, 2017, 2:22 am
つか、いい加減にブルーレイ出せ!![イメージ 1]()
…とか言ってたら、遂に出ましたよ。
ばんざーいばんざーい
鑑賞 2017年11月18日
Blu-ray 字幕
発売元 キングレコード
発売日 2017年11月15日
この日をどれだけ待ちわびたことか
"A Rock&Roll Fable.
Another Time, Another Place…"
もうしょっぱなから
濡れた路面に映えるネオンの色、
下っ腹にずんどこ響きまくるドラムの音に
軽く涙が出た。
画質も音質も申し分ない。
ライブで大盛り上がりの観客の顔や
街並みのセットの細かい作り込み、
カスタムカーのテカテカ加減、
ウィレム・デフォーの異常な生っ白さ、![イメージ 2]()
ダイアン・レインの可憐な可愛らしさ、
凝りに凝った音響設計の見事さ。
監督名のクレジットが入るまで正味20分強
は自分の中では映画史上最高のオープニ
ング。
カッコイイ!!!
その一言しかない。
傍目にはものすごくダサいんだろうけど、
これをそのままカッコイイ!と感じられる
世代に生まれたことを幸せに思う。![イメージ 3]()
いやホント、待ち続けた甲斐がありました。
キングレコードさん、ありがとう!!
と声を大にして言いたい。
これは絶対に墓に持って行きます。
そう言えばこの映画の後はほとんど
ハズしまくりのウォルター・ヒル監督。
ミシェル・ロドリゲスに改造された
殺し屋が大暴れ!というトンデモ新作
"THE ASSIGNMENT"が
『レディ・ガイ』(笑)の邦題で
年明けにようやく公開される模様。
この寝かせっぷりから察しても
またヤバ気な予感もしますが、
とりあえず観ます。ぜったい観ます。
にしても
「女に改造されてもタマはある」…て(失笑)、
邦題もアレだけどコピーも下品すぎ。
↧
November 22, 2017, 3:50 am
原題 "YOGA HOSERS"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 インヴィンシブル・ピクチャーズ
スモッドキャスト・ピクチャーズ
XYZ・フィルムズ他
製作費 $5,000,000
国内配給 パルコ、ハピネット
日本公開 2017年7月1日
上映時間 88分
監督、脚本、編集 ケヴィン・スミス
製作総指揮 ネイト・ボロティン
J・C・ライフェンバーグ
ウィリアム・D・ジョンソン他
製作 エリザベス・デストロ
ジョーダン・モンサント
ジェニファー・S・スミス
撮影 ジェームズ・ラクストン
音楽 クリストファー・ドレイク
美術 キャボット・マクミューレン
衣装 キャロル・ビードル
メリッサ・ウォーカー
出演
リリー=ローズ・デップ:コリーン・C
ハーレイ・クイン・スミス:コリーン・M![イメージ 2]()
アダム・ブロディ:イカボッド
オースティン・バトラー:ハンター
タイラー・ポージー:ゴードン
ジャスティン・ロング:ヨガの先生
ナターシャ・リオン:タビサ
ラルフ・ガーマン:アルカン
ジョニー・デップ:ギー・ラポワンテ
ケヴィン・スミス:ミニナチ
鑑賞 2017年11月21日
Blu-ray 字幕(発売元:ハピネット)
★★★★☆
人間をセイウチに改造してしまうという
ケヴィン・スミスのトンデモ悪趣味コメディ
『Mr.タスク』。
その劇中に登場した2人のコンビニバイト
を覚えておいでだろうか?
本作はその2人を主演に据えたスピンオフ。
アレから数か月後。
カナダの田舎町に暮らすJK、
コリーン・Cとコリーン・Mは
マナティ人間(※つか、セイウチ人間![イメージ 3]()
の間違いだし)救出の手柄を立てて
ローカル新聞の一面を飾ったが、
その後も相変わらずテキトー放題の
ダラダラ暮らし。
インチキのヨガ教室にウツツを抜かし、
近所では「ヨガバカ娘」とか呼ばれてる。
そんな2人が勤める(と言ってよければ)
コンビニにけったいなナチミュータント
がワラワラ現れた!
実はコンビニの地下にナチの秘密基地が
あり、悪のマッドサイエンティストが
眠っていたのだけど、コリーンたちの![イメージ 4]()
バカ騒ぎで目を覚ましてしまったのだ。
かくして2人のおバカJKはヨガの流儀で
ミニナチ軍団に立ち向かっていくのだが…
始終ケータイをいじり回し、客が来れば
ため息まじり、文句を言えば虚ろな目で
「ウゼえし。」とかボソリ呟く。
ちょっと目を離すとバックヤードに引っ
込んでキャッキャ遊んでる。
全くもって不マジメでクソ生意気な
「イマドキ」の子達である。
こういうのを目にすると「世も末だ」とか
しかめっ面で嘆きたくもなったりするが、
これが自分の娘となればハナシは別。
ウチの子は特別なのだ。
ありきたりな「イイ子ちゃん」とは
ワケが違うのだ。
自由奔放な生き方も頼もしい限り。
「この子なら」、きっと世界も救えるはず。
2人のコリーンに扮する、
立ち位置左ぽっちゃりプリティの![イメージ 5]()
ハーレイ・クイン・スミスは
監督ケヴィン・スミスの愛娘、 (ちなみにネーミングは例のアレだそうな)
右側のリリー・ローズ・デップは
ジョニー・デップそっくりの正統派美少女。
「ウチの娘、サイコーだろ!?
友達のリリーも超カワイイよな!?」
そんな親バカ至極のメロメロっぷりが
ビンビンに伝わって来る。
ええ、可愛いです。ものすごく。
2人とも初主演ということだけども、![イメージ 6]()
この上ない「フィーチャリング」に
なったんじゃないかと。
なんでもケヴィン・スミスとジョニデは
昔から家族ぐるみの付き合いなんだそうで、
娘同士も小っちゃな頃からの親友だとか。
「この子たちが年ごろになったら、
盛大にお披露目してやんなきゃな。」
そんなことを言いながらバーベキューを
囲んだりしてたことでしょう。
前作『Mr.タスク』に引き続きジョニデが
怪しいフレンチカナディアンを快演。
このところ変なコスプレでスベリっ放しな![イメージ 7]()
ジョニデだけども、こんな生き生きとした
ジョニデを観るのも久しぶりだ。
スミス夫人がまだちっちゃなジョニデの
息子の手を引いて現れ、そしてとっくに
別れたヴァネッサ・パラディまで、
しかもえらくおいしい役どころ。
ジャスティン・ロングにオスメント君ら
前作からの友情出演もアツい。
まさに両家をあげての一大イベント。
『Mr.タスク』が前フリにすら見えてくる。
相変わらず日本人には笑えないネタが多い![イメージ 8]()
んでコメディとしてはアレだけども、
『グレムリン』や『クリッターズ』等、
昔懐かしのプチモンスターパニックを
模した騒々しいガールズムービーとして
楽しんでも可。スミス監督の次作も
この「カナダサーガ」に連なるようで、
タイトルは"MOOSE JAWS"
(「ヘラジカジョーズ」)。
まさか『シャークトパス』みたいな感じに
なるんだろか。
コンビニJKも引き続き登場、それから
ジェイ&サイレントボブも絡んでくるとか。
結局、クロスオーバーなんだな(笑)
↧
↧
November 24, 2017, 4:25 am
原題 "UNDER THE SHADOW"![イメージ 1]()
製作年度 2016年
製作国 イギリス、ヨルダン、カタール、イラン
製作 ウィグワム・フィルムズ
国内配給 ネットフリックス
上映時間 84分
監督、脚本 ババク・アンヴァリ
製作総指揮 カレド・ハダッド
パトリック・フィッシャー
ニック・ハービンスン
ダンカン・マクウィリアム
製作 エミリー・レオ
オリヴァー・ロスキル
ルカン・トー
ティム・ワレンコ
撮影 キット・フレイザー
音楽 ギャヴィン・カレン
ウィル・マッギリブレイ
編集 クリストファー・バーウェル
美術 ナッサー・ズービ
衣装 フィードラ・ダーダレ
出演
ナージェス・ラシディ:シデー
アヴィン・マンシャディ:ドルサ![イメージ 2]()
ボビー・ナデリ:イラジ
アラシュ・モランディ:レザ先生
アラム・ガセミー:イブラヒミ夫人
カラム・ラシャイダ:メフディ
鑑賞 2017年11月23日
ネット配信(ネットフリックス) 字幕
★★★★★
時はイラン・イラク戦争の真っ只中。
テヘラン市街に暮らす主婦シデーは家事
の傍らで大学に通い、かねてからの夢で
あった医師になるべく勉学に努めていた。
が、若気の至りで極左思想の学生運動に
一時身を置いた経歴が邪魔をし、
どうしても国から資格の許可が下りない。
遂には大学からも追い出されてしまう。
この国で女が夢を叶えることはない。
常にチャドルで身を隠し、家の中で慎ま
しやかに暮らしておればよいのだ。
鬱屈した思いでアパートに帰ると、夫に
召集令状が届いていた。
戦地は激戦区のド真ん中。いつ、無事で
帰ってこれるかすら分からない。![イメージ 3]()
戦争は激しさを増し、ここテヘランにも
イラク軍の攻撃が及び出していた。
ミサイルの警報が鳴れば娘を抱いて
地下室に避難をする。
不安で憂鬱な日々を送る中、
娘のドルサがおかしなことを口にする。
家の中に「ジン」が入り込み、
なにか悪いことを企んでいるのだと-
なんとも珍しいイラン製のホラー映画。![イメージ 4]()
中東方面のホラーと言うと
フーパ―師匠がUAEに招かれて撮った
『悪魔の起源~ジン~』があったが、
戒律の厳しい土地柄ゆえ縛りが多く、
過剰なショック演出や女性の肌の露出、
バケモノ等のグロテスクな造作が
ことごとくNGと、マトモなホラーを撮る
にはなんとも絶望的な状況なのだけど、
それでもそこそこ「観れる」ホラーに
仕上げて見せたフーパ―師匠のウデ力を
垣間見る一作だった。
対して本作はイギリス資本、ネットフリ
ックス配信ということで比較的自由な
製作環境が整っていたことと思われるが、
それにしても世界レベルをあっさり超え
て来たんで驚いた。
もはやこれは『死霊館』や『永遠の子供
たち』あたりと同列に語って然るべき
オカルトホラーの逸品。
本年観たどのホラーよりもしっかり怖くて
ストーリー性もズバ抜けてる。
以前からイラン映画のレベルが総じて高い
というのは耳にしてはいたけども、まさか
これほどとは。![イメージ 5]()
オハナシとしてはオーソドックス至極の
ハウスホラー。
ある平凡な一家に起きた「怪異」。
平凡…と言ってもここは戦時下のイラン。
何気なく会話をしている窓の向こうにミサ
イルが落ちる光景がなんともリアルだ。
そして静かに生活をしている中に突如響き
渡るミサイル警報。地下室で難が去るのを![イメージ 6]()
待ち、元の生活に戻っていく人々の姿は
もはや他人事ではない。
そしてここは戒律の厳しいアラブの地。
外で肌を晒すことを許されず、
抑圧された生き方を強いられる一人の女性。
世知辛い世の中で希望を絶たれ、夢を失っ
た母親が非日常の存在に相まみえる図式は
『仄暗い水の底から』と同様だが、アラブ
社会ならではの女性の窮状がテーマをより
深刻なものにしている。
生きて行くのでいっぱいいっぱいで、
つい子供を顧みるのを忘れた母親と、
そんな母に疑いを抱いた子供の心の隙間に
恐ろしい魔物が宿るのは神経衰弱系オカル
トホラーの傑作『ババドック 暗闇の魔物』
と同様だが、ここで出てくるのがアラブ
オリジナルの「ジン」というバケモノだ。
ジンと言えば青くてフレンドリーな「ラン
プの精」のイメージが強いが、アラブ諸国
ではより広範囲な精霊であり、時として
それは悪霊の性質をもつものらしい。
荒涼とした砂漠から吹き付ける風の中に、
アラブの人々は得も言われぬ禍々しさを
感じるのでしょう。
劇中でも絶えず吹きすさぶ風の音がとても![イメージ 7]()
効果的に恐怖を演出していた。
返す返す、素晴らしいクオリティの逸品。
どこぞの辺境で作られた3文ホラーと侮る
なかれ。
テーマ的には現イラン政権の統制下では
なかなか厳しい内容を含んでいたと思うけ
ども、これもネット配信というリリースが
あったればこそじゃないだろか。
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November 27, 2017, 6:07 am
原題 "I AM THE PRETTY THING THAT LIVES IN THE HOUSE"
製作年度 2016年![イメージ 1]()
製作国 カナダ、アメリカ
製作 パリス・フィルムズ
ゼッド・フィルムワークス
ゴー・インセイン・フィルムズ
国内配給 ネットフリックス
上映時間 89分
監督、脚本 オズグッド・パーキンス
製作総指揮 イアン・ブリックル
アルフォンセ・ゴーセイン
マット・レヴィン
製作 ロバート・メンジーズ
ロブ・パリス
撮影 ジュリー・カークウッド
音楽 エルヴィス・パーキンス
編集 ブライアン・アフバーグ
配役 アイーデ・ベラスコ
イローナ・スミス
美術 シェイン・ブーシャー
ジェレミー・リード
衣装 ジェン・ストロード
出演
ルース・ウィルソン:リリー
ポーラ・プレンティス:アイリス・ブラム
ボブ・バラバン:ワックスカップ![イメージ 2]()
ルーシー・ボイントン:ポリー
エリン・ボーイズ:アイリス(若年期)
鑑賞 2017年11月27日
ネット配信(ネットフリックス) 字幕
★★★★☆
マサチューセッツ郊外に佇む古屋敷。
19世紀初頭に建てられたその家の![イメージ 3]()
所有者は恐怖小説家のアイリス・ブラム。
彼女は若い頃からこの家に一人で住み、
ここで13冊のベストセラーを書き上げた。
そのアイリスも今はすっかり年老いて、
ほぼ寝たきりの状態。その世話を看るため
に雇われてきた看護師のリリー。
別にこの仕事が好きなわけじゃない。
ただ他人と関わらずに暮らせるこの仕事が、
あの時の私には必要だった。
でも、ひとつだけ困ったことが。![イメージ 4]()
私は怖がりなのだ。
夜になると怖くて眠れない。
天井板の軋む音。すきま風。壁のシミ。
色々なものが気になってしまって。
「ポリー?ちょっと来てちょうだい」
二階からアイリスの呼ぶ声がする。
まったく。あのボケ老人、私はリリーだっ
て何度も言ってるのに。
ポリーって誰だよ…と、次の日に不動産屋
に聞いてみると、ポリーと言うのはアイリス
が書いた小説の主人公と言うことが分かる。
そしてその小説は実際に起きた事件を基に
書かれたものだとか。
うう。ぶっちゃけ恐怖小説なんか、読みたく
もないんだけど。
リリーはアイリスの書斎に入って行き、
ある一冊の書を手にする。
その題名は、「壁の中の淑女」。![イメージ 5]()
またまたネットフリックス・プレゼンツ
からの一品。
邦題がヤケにインパクト重視と言うか、
一体どこを狙ってるのか不明なイキガリ様
だったので警戒しつつ手に取ったのだけど、
ほぼ原題そのまんま。
そして内容の方もこの題名のイメージから
さほど遠くもなかったりする。
長々としたモノローグ。
色彩の淡い、オサレ系の画作り。
傍にはナニ言ってるかさっぱ分からない、![イメージ 6]()
うすボンヤリとした語り口。
これはやっぱりやっちまったか!?
こちとらホラーオヤジ的に最も苦手とする
「文芸アート系」を掴んでしまったかと、
欠伸が出たら即停止ボタンを押すつもりで
見進めて行ったのだけど(コレがネット配
信の怖いとこじゃないかと思うわけです)、
これがなかなかに趣深いゴーストホラーの
逸品でありました。
手触りとしては『私はゴースト』にやや![イメージ 7]()
似た感じ。
リアル志向と言うか、あの世目線と言うか。
実際に霊界を目にしてきた人が語っている
かのようなうすら寒さ。ヒンヤリした感触
がやにわに背筋を撫でて行くサブイボ加減。
霊の見え方、音の聞こえ方がなんともイヤ
な感じでホントに怖い。
そして想像を巡らすほどに怖気を震わせる
ストーリー。
確かに静かでゆったりでえらく眠気を誘う
代物なのだけど、きっちり五感を働かせて
作品の空気や香りを感じることができれば、
最後には最高にゾクゾクさせられること ![イメージ 8]()
ウケアイ。
必ずしも大画面で観るべき作品ではありま
せん。
夜に独りっきりで、部屋を真っ暗にして、
ディスプレイをそこそこ間近にして
ヘッドフォンをかけて観るのがオススメ。
監督、脚本のオズグッド・パーキンスは
かのアンソニー・パーキンスの御子息。
-とある家を私にくれた父 a,pに捧ぐ-
生まれもマサチューセッツだそうな。
この映画自体がガチということか。納得。
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November 29, 2017, 9:32 am
原題 "LATE PHASES"![イメージ 1]()
製作年度 2014年
製作国 アメリカ
製作 ダークスカイ・フィルムズ
グラスアイ・ピクス
サイト・B
国内配給 アクセスエー
日本公開 2017年8月2日(DVD)
上映時間 95分
監督 アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ
脚本 エリック・ストルツェ
製作総指揮 ハムザ・アリ
製作 ラリー・フェセンデン
ブレント・カンクル
グレッグ・ニューマン
ザック・ジーマン
撮影 アーネスト・ヘレーラ
音楽 ウォイチェック・ゴルチェウスキー
編集 アーロン・クロージア
配役 シグ・デ・ミゲル
スティーヴン・ヴィンセント
美術 リサ・マイヤーズ
衣装 ミーガン・スターク・エヴァンス
VFX ロバート・カーツマン![イメージ 2]()
出演
ニック・ダミチ:アンブローズ
イーサン・エンブリー:ウィル
ランス・ゲスト:グリフィン
エリン・カミングス:アン
ルターニャ・アルダ:グロリア
トム・ヌーナン:ロジャー神父
ラリー・フェセンデン:墓石屋
鑑賞 2017年11月28日
DVD 字幕(発売元:アメイジングDC)
★★★☆☆
山奥にある高齢者居住区クレセント・ベイ。
至って小綺麗で閑静な住宅街だが、そこに
住むのは老人ばかり。ケア体制もばっちり
整ってる。要は体のいい姥捨て山である。
そこに盲目の老人が息子に手を引かれて
やって来る。
彼の名はアンブローズ・マッキンリー。
かつてはベトナム歴戦の勇者であったが
退役後に視力を失ってしまい、
「息子たちに厄介をかけるくらいなら」と
この地で余生を送ることを決めたのだ。![イメージ 3]()
この辛気臭い雰囲気には馴染めないが、
隣の御婦人とは仲良くなれそうだし、
なによりも最愛の相棒、盲導犬のシャドー
がいる。
この場所で、静かに来る日を待つことに
しよう。そう思っていた。
が、越してきたその夜は満月。
森の中から腹を空かせた狼人間が現れて、
隣のバアさんとシャドーが餌食となり
内臓ダダモレ。![イメージ 4]()
翌朝警察が駆けつけるが、アンブローズの
訴えにまるで聞く耳を持たない。
森の近くだからね。夜の戸締りや独り歩き
には重々注意してもらわないと。と言うか
この町で年寄りが死ぬのは日常茶飯事。
我々も忙しいんですよ、正直なところ(笑)
違う。あれはただの動物なんかじゃない。
その研ぎ澄まされた感覚で犯人が狼人間で
あることを直感したアンブローズは、
愛犬の仇を討つべく準備を進めていた。![イメージ 5]()
次の満月の夜。 奴がまた現れるその時まで-
アルゼンチンの鬼才アドリアン・ガルシア・
ボグリアーノひさびさの新作。
つってももう3年前の作品だけど。
6年前に初期作品集「スパニッシュホラー
コレクション」で初めて観た時は、
そのうちきっとホラー界でトップを担う
逸材かと思われたのだけど、その後さっぱ
り音沙汰もなく。![イメージ 6]()
ボグリアーノと言えば小生意気なギャル共を
散々イビリ倒すドS風味が特徴的だったけど
も、今回ターゲットとなるのはヨボヨボの
じーさんばーさん。
主人公も目の見えないジジイなのだけど、
その実はズバ抜けた聴覚嗅覚を持ち、
実戦経験も豊富な戦闘マシーンだった!
という『ドント・ブリーズ』的展開。
扮するは『ステイクランド』や『肉』など
ジム・ミックルの諸作でイブシ銀の魅力を
放っていたニック・ダミチさん。
チャールズ・ブロンソンを彷彿とさせる
武骨な佇まいに加え、老境に差し掛かった
ロートル戦士の枯れた味わいが哀愁を誘う。
ところでダミチさん、実はまだ58歳。
老けすぎですよ(笑)
原題の"LATE PHASES"は「晩年」の意
かと。「第2の人生」と言えば聞こえは
いいけど、身体も頭も衰える一方。
世のために役立つどころか、現役世代の
厄介にならないようにと肩身の狭い思いを
しながら暮らすお年寄りたち。
けど。今まで遮二無二頑張ってきた自負、
そして誇りがある。今の世の中があるのは
いったい誰のお陰だと思ってんだ。![イメージ 7]()
腹の中の「狼」がむっくりと起き上がる。
昔はうまく飼い慣らせていたのに、今は
どうにも抑えが効かない。
このところ突然キレるじーさんばーさんが
物議を醸したりもしているが、
こうした問題をモンスターに落とし込んだ
アイディアはなかなか新しくて面白い。
狼男と言えばなんと言っても変身シーン。
胸板がボコン!と膨らむ『ハウリング』に
掌がビローンと伸びる『狼男アメリカン』、
人の面の皮が裂けて中から毛むくじゃらが
飛び出す『狼の血族』、変身中のオッサン
の形相はなぜかオリヴァー・リード風と、
往年のメタモルフォーゼをしっかり
特殊メイクでフルオマージュしたあたりは
さすがボグリアーノと言ったところ。
それだけに変身後のキグルミ狼男があまり
にクオリティが低くて残念至極。
ボグさんのことだからこのチープさ加減も
計算の内なのかもしれないけども、
どうせだったら『ハウリング』みたいに
人形アニメでやっちゃえば良かったのに。
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