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Channel: 玉ホラ日記
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映画『ジャスティス・リーグ』~DCがまたやった!

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原題 "JUSTICE LEAGUE"イメージ 1
製作年度 2017年
製作国 アメリカ、イギリス、カナダ
製作 ワーナー・ブラザース
 アトラス・エンターテインメント
 クルエル&アンユージュアル・フィルムズ
 DCコミックス/DCエンターテインメント
 ラットパック・デューン・エンターテインメント
 レンズバーン・プロダクションズ
製作費 $300,000,000
国内配給 ワーナー・ブラザース
日本公開 2017年11月23日
上映時間 120分

監督 ザック・スナイダー
脚本 クリス・テリオ
    ジョス・ウェドン
製作総指揮 ベン・アフレック
    クリストファー・ノーラン
    マイケル・S・アスラン
    ベンジャミン・メルナイカー他
製作 ジョン・バーグ
    ジェフ・ジョーンズ
    チャールズ・ローヴェン
    デボラ・スナイダー他イメージ 2
撮影 ファビアン・ワグナー
音楽 ダニー・エルフマン
編集 デヴィッド・ブレナー
    リチャード・ピアソン
    マーティン・ウォルシュ
配役 クリスティ・カールスン
    ローラ・ケネディ他
美術 パトリック・タトプロス
衣装 マイケル・ウィルキンスン
出演
ベン・アフレック:バットマン
エイミー・アダムス:ロイス・レイン
ガル・ガドット:ワンダーウーマン
エズラ・ミラー:フラッシュ
ジェイソン・モモア:アクアマン
レイ・フィッシャー:サイボーグ
ジェレミー・アイアンズ:アルフレッド
ダイアン・レイン:マーサ・ケント
キアラン・ハインズ:ステッペンウルフ

鑑賞 2017年12月1日
仙台東宝シネマズ  字幕
★★☆☆☆

このところライバルのマーベルに完全にイメージ 3
水を開けられた状態だったDC陣営が切り札
として投入してきた豪華オールスター企画。
総製作費は史上第3位の$3億超え。
『ワンダー・ウーマン』がこの夏一番の
大ヒットを飛ばしたのもあり、その勢いに乗
ってDCの大逆襲が始まるかと思われたが。

…が。
DCはまたここでやってしまったのだ。
しかもかなりハデ目のコケっぷり。
今年の映画秘宝トホホ1位はこれで確定じゃ
ないかと(となるとDCはトホホ2連覇だ)。
そもそもDCが不評だったのはノーラン版
『バットマン』の流れを汲む「暗さ」であり、
やはり私もそこが好きじゃなかった。
製作陣もそのことを問題視していたようで、
今回はダークな要素を極力排除するよう
監督ザック・スナイダーは言われていたらし
いし、「今度は明るくて楽しいヒーロー映画
になる」との声明が事前に流布されてもいた。
つまりはマーベルみたいなのをやるから、
安心して観に来てくれよなということである。
ただ私は思うのだけど、この路線自体が問題
ではなくとにもかくにも脚本が不出来だった
からであって、それをザック・スナイダーのイメージ 4
ようなストーリーテリングの下手なビジュア
ル派に任せてしまったことで非常に共感の
し難い、つまりは「無駄に辛気臭い」内容に
なっていたからだ。
もっと本来のドラマのクオリティを上げて行
くことに努めれば、かつての『ダークナイト』
に心酔したファンたちは付いてくるはずだし、
マーベルとの差別化にもなると思う。
それをただ無造作に抜いただけだから、
なんとなくカネのかかったCGスペクタクルと、
笑えないしらしくもないユーモアと、
なれ合いモードバリバリの友情模様を
盛り込んだだけのスカスカマンガ祭りに
なってしまった。
いっぺんズタボロになって死んだヒーローを
取り敢えずガワだけ生き返らせたような話。
「まるで別物じゃんかよ…」
『ペット・セメタリー』に準えたギャグは
なかなか言い得て妙である。

駒がほとんど揃っていないうちから
「オールスター」をぶち上げてしまった。
マーベルへの対抗ありきとは思うけども、
この勇み足も良くなかった。
こういうクロスオーバー企画はおなじみの
キャラ同士が「もし、あいつらが絡んだら」イメージ 5
という所から面白味が出てくると思うのだ
けど、今回はアクアマンやらサイボーグやら、
ほとんどイントロデュースが出来ていない
メンツだからそいつらが絡んできても一向に
面白くない。もちろんコミックやテレビ版の
フラッシュを観てた人は分かるんだろうけど、
こちとら初心者としては「おまえダレ?」
状態なわけで。
そんな奴らに「今の俺には仲間がいる!」
とか熱く語られても「はあそうですか(笑)」
としかならんわけで。
聞けば監督ザック・スナイダーは編集作業
に入る前に娘さんが急死されたとかで降板、
その時点でランタイムは3時間近くになる
予定だったとか。
そこで『アベンジャーズ』の立役者ジョス・
ウェドンがバトンを継いだが、その際に
「とにかく軽めでお願い」と製作者側から
発注されたウェドンは「アベンジャーズ風
味の」追加シーンを加え、更に尺をバッサ
リと落として今の2時間に収めたらしい。
このところの超大作によく聞く話だけど、
こんなツギハギ具合で面白くなる訳がない。
もしやそのカットされた部分の中に、
出会ったヒーロー同士ががっちり腕を組む
に至る諸々のエピソードが盛り込まれてイメージ 6
いたのかもしれないけど、今となっては
見る影もない。
ザック・スナイダー恒例のディレクターズ
カットが実は存在していて、そのうち
リリースされるという噂もあるけれど、
果たして。これ以上にただ長くて退屈な
代物かも知らんけど。


映画『アンシーン 見えざる者』~或る透明人間の憂鬱

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原題 "THE UNSEEN"イメージ 1
製作年度 2016年
製作国 カナダ
製作 グーンワーク・フィルムズ
国内配給 ブロードメディア
日本公開 2017年8月1日
上映時間 108分

監督、脚本、製作 ジェフ・レドナップ
製作 ケイティ・ウィークリー
撮影 スティーヴン・メイア―
音楽 ハーロウ・マクファーレン
編集 トム・カイル
配役 ジュディ・リー
美術 ケイトリン・バーンズ
衣装 スコット・モファット
出演
エーデン・ヤング:ボブ
カミーユ・サリヴァン:ダーレイン
ジュリア・サラ・ストーン:エヴァ
ベン・コットン:クリスビー
マックス・チャドバーン:アメリア
アリソン・アラヤ:モール

鑑賞 2017年12月2日イメージ 2
DVD 字幕(発売元:ブロードメディア)
★★★☆☆

カナダの田舎町にひっそりと暮らす
男ヤモメ、ボブ。
なにも話さず、誰とも関わらず、
昼は製材所で働き、夜は独り酒を飲み、
寝る。そんな毎日。
かつてはホッケーのスター選手だった。
愛する家族もいた。が。なんの因果か、
彼は身体の一部が見えなくなるという、
なんとも厄介な病を抱えていた。
指先が、脇腹が、そして頭のてっぺんが。
そしてその箇所が酷く痛む。
年を取るにつれ症状は重くなる一方。
こんな俺に家族を幸せにしてやれる筈が
ない。悲嘆の果てに、家族も、仕事も、夢も。
全てを捨ててこの街にやって来たのだ。

-父と同じように。
そう、この病は遺伝性だったのだ。
父もまた自分が思春期の頃、ある日突然
家を出て、そのまま帰っては来なかった.
今頃は多分、もう。
そして俺もそこに行く。イメージ 3
巨大な破砕機に身を投げようとしたその時、
残してきた娘エヴァの面影が脳裏に浮かぶ。
元気でいるだろうか。
最後に一目だけでも会いたい。その一心で
ボブは久しぶりに郷里へと帰って来るが-

"THE UNSEEN"「見えざる者」。
原題が同じのフリークスラッシャー『恐怖
のいけにえ』があるが、リメイクでもなん
でもない。
透明人間の悲哀を描いたカナダ製SFホラー。
透明人間と言うとユニヴァーサルの本家や
ヴァーホーベンの『インビジブル』も
クスリを飲んで「見えない」体を手にした
男がロクでもない方向に暴走してしまう
恐怖を描いたものだったが、こちらは
それを「病人」として描いた点が面白い。
透明化イコール超能力ではないのだ。
同じくカナダのクローネンバーグが
『スキャナーズ』で超能力者をクスリの
副作用による「畸形」として描いたが、
本作もコンセプトとしては同様である。
不思議な力を授かったことに
「ヒャッハー!」とか浮かれるでもなしに、
「なんでオレはこうなんだ…」
カナダの薄暗い曇り空の下で我が身を呪うイメージ 4
哀しき透明人間。

監督のジェフ・レドナップはもともと
VFX畑の出身らしく、身体のあちこちが
欠損する描写はさすがに手が込んでいて
おぞましい。
どうせなら目の前で徐々に「消えて行く」
というシークエンスをワンカットで見せて
ほしかったが、それこそ『インビジブル』
の二番煎じになっちゃうか。
技術屋でもある監督の技ありきな企画では
あったんだろうけども、そこに留まらないイメージ 5
ホームドラマ仕立てがまた秀逸。

「見えなくなっても、見ているよ。」

親の有難みって、目の前にいる時は
なかなか分からないんだよな。
愛らしいラストシーンに思わずグッと来た。
娘さん主役の続編希望。

映画『ウィッチ』~罰が当たったりもしたけれど、私は元気です。

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原題 "THE VVITCHイメージ 1
: A NEW ENGLAND FOLKTALE"
製作年度 2015年
製作国 アメリカ、カナダ、イギリス、ブラジル
製作 パーツ・アンド・レイバー
    RT・フィーチャーズ
    メイデンボヤージ・ピクチャーズ他
製作費 $3,500,000
国内配給 インターフィルム
日本公開 2017年7月22日
上映時間 92分

監督、脚本 ロバート・エガース
製作総指揮 クリス・コロンバス
    エレノア・コロンバス
    トーマス・ベンスキー他
製作 ダニエル・ベカーマン
    ラース・ニュードセン
    ロドリゴ・テゼイラ他
撮影 ヤリン・ブラシュケ
音楽 マイク・コーヴェン
編集 ルイーズ・フォード
配役 カーメル・コクレーン
美術 クレイグ・ラスロップ
衣装 リンダ・ミューア
出演イメージ 2
アニヤ・テイラー=ジョイ:トマシン
ラルフ・アイネソン:ウィリアム
ケイト・ディッキー:キャサリン
ハーヴェイ・スクリムショウ:ケイレブ
エリー・グレンジャー:マーシー
ルーカス・ドーソン:ジョナス

鑑賞 2017年12月5日
DVD 字幕(発売元:ハピネット)
★★★★☆

モキュメンタリーホラーのハシリ
『ブレアウィッチ・プロジェクト』は
製作費$6万に対して全米興収$1.4億
という空前のボロ儲けを記録したが、
日本では「インチキじゃねえか」と、
まるでウケなかった。(※私もそう言って
文句を付けたクチだが)
商業映画なんだから作り物なのは必然。
でも、POVという疑似体験的な視覚体験や
ネット等に巧妙に仕込んだデマ情報により
「やっべ。やっぱ魔女いるんじゃん」
仄かな「ガチ」を信じてしまう素地があっ
たればこそ、『ブレアウィッチ』はあれほイメージ 3
どヒットをしたんじゃないかと思うわけで。
ディズニーの白雪姫の例を出すまでもなく、
欧米人-殊にアメリカ人が抱く魔女への
畏れと言うのは、我々日本人が思うよりも
ずっとリアルで、より根深いものがあるよ
うな気がする。

本作『ウィッチ』もその名の通り、
『ブレアウィッチ』ほどではないものの
低予算でヒットを飛ばした魔女ホラー。

16世紀半ばのニューイングランド。
新天地を求めてやって来た開拓民の集落
から、追い出された一家があった。
否。私達は追い出されたのではない。
真に神の教えを守るがため、
敢えてこの堕落した土地を出たのだ。
厳格な父に貞淑な母。そして無垢なる子供
たちが五人。
静かな森の畔にオンボロ小屋を建て、
厳しい冬を迎えようとしていた。イメージ 4
「森の中へは行くんじゃないよ。決して」
-オオカミや、魔女が出るからね。
そんな迷信を鼻で笑っていた
年長の娘トマシンは母に言いつけられ、
森の近くで赤ん坊をあやしていたのだが、
ふと-ほんの一瞬目を離した隙に赤ん坊
が忽然と姿を消してしまう。

一家総出で森の中を探し回るが、赤ん坊は
見つからない。
狼に食われてしまったんだ、きっと。
嘆き悲しむ母と、これも神の試練かと妙に
割り切りを見せる父。そこに下の双子が
無邪気に図星を突いてしまう。
「お姉ちゃんは魔女だ!
悪魔に赤ちゃんを売っ払ったんだよ」
まさか…はじめは子供の戯言と片付けるが、
次々と不吉な出来事が一家を襲う。
作物は実らない。鶏は卵を産まず、
ヤギは血の乳を垂れ流す。
そしてまた大事な跡取り息子が姉と森に
出かけたのを最後に姿を消してしまう。
果たしてトマシンは本当に魔女なのか。
それとも―

まだまだ子供と思っていたのに、
着実にオトナの女性へと変わりつつある
年頃の女の子。
本人の意志とは関係なしに誰もが惑わされ
てしまう少女たちを、周囲は否応もなく
妖の者と見なす。
『タクシードライバー』のジョディ・フォイメージ 5スター
然り、『フェノミナ』のジェニファー・コネリー
然り、『狼の血族』のサラ・パターソン然り、(『エスター』のイザベル・ファーマンも一応
はそうと言える)アニヤ・テイラー=ジョイが
この限られた年頃にこの役に就けたことは
僥倖と言っていい。
ちなみにこの後シャマランの『スプリット』
に抜擢されたが、シャマランは本作に出て
いたことを全く知らずに決めたそうだ。

ここからこの娘を軸にして
魔女なのか、それとも違うのかというような
神経衰弱スリラーになるかと思いきや、
父も、母も、そして年端も行かぬ子供達も
どいつもこいつもがみんな怪しいという
オール『シャイニング』、いやそれとも
オカルト版『逆噴射家族』といった展開に。
この疑念と困惑に翻弄されるところが
本作の醍醐味と思うのだけど、
どうか観る側としては終始主人公トマシン
の視点で観て行くことをオススメしたい。
活発で、聡明で、美しく、そして生意気で、
大人しく人の言うことを聞いていたつもり
でもついハミ出してしまう、そんな女性は
いつの世にもいたはず。イメージ 6
もちろん、今も。
ただ「女性らしく」慎ましやかに神を信じ
て生きることが求められた古い社会では、
こうした女性はただ異端でしかなかった
ことでしょう。
原題"THE VVITCH"の"W"が”V"2つに
なっているのは、決して若い作り手が
ノリでやっているわけではない。
思うに、"BITCH"(メス犬)と呼ばれてい
た女が"WITCH"に転じたんではあるまいか。
理想を掲げ、神に守られているはずの
開拓民が疫病や不作、自然の猛威など、
厳しい暮らしぶりの中で抗いようのない
苦難に直面した時、「こんなに辛いのは、
我らの中に神に背くものがいるからだ。」
村のアバズレやクソ生意気な女をその元凶
に仕立て上げたりもしたのかも。
甚だ勝手な被害妄想やヒステリーが昂じて、
今となっては何の罪もない人々を火炙りに
してしまった。
そんな後ろめたさや後悔の念がどこかに
残っているからこそ、彼らは魔女を畏れて
止まないんじゃないだろうか。

映画『バイバイマン』~言うな、考えるな。感じるんだ。

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原題 "THE BYE BYE MAN"イメージ 1
製作年度 2017年
製作国 アメリカ、中国 
製作 STX・エンターテインメント
    イントレピッド・ピクチャーズ
    ロサンジェルス・メディア・ファンド他
製作費 $7,400,000
国内配給 AMGエンターテインメント
日本公開 2017年7月8日
上映時間 97分

監督 ステイシー・タイトル
脚本 ジョナサン・ペナー
原作 ロバート・デイモン・シュネック
   "The president's vampire"
製作総指揮 ロバート・シモンズ
    パトリック・マーレイ
    オーレン・アヴィヴ他
製作 サイモン・ホースマン
    トレヴァー・メイシー
   ジェフリー・ソロス
撮影 ジェイムズ・ニースト
音楽 ザ・ニュートン・ブラザース
編集 ケン・ブラックウェル
配役 アン・マッカーシーイメージ 2
    リリアン・パイルズ他
美術 ジェニファー・スペンス
衣装 リア・バトラー
特殊メイク ロバート・カーツマン  
出演
ダグラス・スミス:エリオット
ルシアン・ラヴィスカウント:ジョン
クレシーダ・ボナス:サーシャ
マイケル・トルッコ:ヴァージル
ジェナ・カネル:キム
エリカ・トレンブレイ:アリス
キャリー・アン・モス:ショウ警部
ダグ・ジョーンズ:バイバイマン
フェイ・ダナウェイ:レッドモン夫人
リー・ワネル:ラリー・レッドモン

鑑賞 2017年12月7日
DVD 字幕(発売元:アメイジングD.C)
★★★☆☆

大学生のエリオットは学生寮を出て、
恋人サーシャ、親友のジョンと共に
古い屋敷で暮らすことになる。
ハヤリのシェアハウスってやつだよ。イメージ 3
浮かれる彼らだったが、ふと地下室から
引っ張りだした古いサイドテーブルの
引き出しの中に異様な書き込みを発見する。
"DON'T SAY IT, DON'T THINK IT"
それを言うな。考えるな。
え。「それ」って…?
"IT"というのは「それを言ったら終わり」。
だから敢えてその名を伏せるわけで。
が、言うな考えるなと隠されてしまうと
逆に知りたくなるのが人の性。
そして遂に彼らは知ってしまう。
その名は「バイバイマン」。

かのジェームズ・ワンが絶賛通り越して
嫉妬をしたというホラー映画。
正直「それほどかあ?」という感じだった
けども、(もしやリー・ワネルが出てる
から若干「盛った」部分があったのかも)
そこそこお金が掛かってて仕立てのしっ
かりした、良質の「ティーンズホラー」で
ありました。
聞けば本作には原作があったらしく、
"THE PRESIDENT'S VAMPIRE"(大統
領の吸血鬼)となる都市伝説やネットデマ
の類いを集めた「ノンフィクション小説」イメージ 4
の中の一篇。

その名を呼ぶとやって来る。
頭の中に思っただけでもアウト。
「呼んだ?」自意識過剰な謎の怪人
「バイバイマン」の恐怖。
名前を呼んじゃいけない、関わったら終わり
というのはいかにも臆病な子供達の世界に
フィットしたネタだけども、近年のティーン
ズホラーはなかなかに世知辛く、「口裂け女」
宜しく八つ裂きにされて終わるわけではない。
バイバイマンの名を知ってしまった子供たち
は幻覚に惑わされ、ああでもこうでもないと
疑念に駆られた挙句に周囲の友人や家族
を殺し尽くし、最後には自殺をする。そして
死ぬ前に次なる犠牲者を生むために名前を
どこかに遺して行くのだ。
つまり、この映画を観た人間はみんな
その名前を知ってしまったことになるのだ。
ヤダこわーい!シャレんなんなーい!!
言うな。考えるな。とは言うものの、イメージ 5
この怖い話を誰かに聞かせたい、ビビらせて
やりたいと考えないガキはいない。次の日に
はクラスのみんながその話を知っている。

要はアレです。「ホントにあった怖い話」
やら「学校の怪談」やら、小中学生が
きゃーきゃー言って楽しむ他愛もない
ホラ話の世界。
並のR指定とか上映禁止処分程度では
ビクともしないマニア連中はハナから
お呼びじゃないわけで。
とは言え原作にあったであろう「ノンフィ
クション」のサブイボ加減がいまいち反映
されず、よくうありがちなメジャー系の
夏休み映画に留まってしまった感。
そんな程度と言うことで、ややハードル
下げ目での鑑賞をオススメしたい。

映画『ゲット・アウト』~アブない人種差別問題

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原題 "GET OUT"イメージ 1
製作年度 2017年
製作国 アメリカ
製作 ユニヴァーサル映画提供
    ブラムハウス・プロダクションズ
    QC・エンターテインメント
    モンキーポー・プロダクションズ他
製作費 $5,000,000
国内配給 東宝東和 
日本公開 2017年10月27日
上映時間 104分

監督、脚本、製作 ジョーダン・ピール
製作総指揮 ジャネット・ヴォルターノ
    ショーン・レディック
    クーパー・サムエルスン他
製作 ジェイソン・ブラム
    エドワード・H・ハム・Jr.
    ショーン・マッキトリック他
撮影 トビー・オリヴァー
音楽 マイケル・エイブルス
編集 グレゴリー・プロトキン
配役 テリー・テイラー
美術 ラスティ・スミス
衣装 ナディーン・ヘイダースイメージ 2
出演
ダニエル・カルーヤ:クリス
アリソン・ウィリアムズ:ローズ
キャスリーン・キーナー:ミシー
ブラッドリー・ウィットフォード:ディーン
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ:ジェレミー
マーカス・ヘンターソン:ウォルター
ベティ・ゲイブリエル:ジョージーナ
リル・レル・ハウアリー:ロッド

鑑賞 2017年12月9日
チネ・ラヴィータ 字幕
★★★★☆

クリス・ワシントンは目下売り出し中の
新進フォトグラファー。
付き合い始めたばかりの恋人ローズがいる
が、この週末は彼女の両親に挨拶に行くこ
とになっていた。
「ご両親には言ってあるのかい?
その…僕が、ブラックであることを」
クリスの訴える不安をローズは一笑に付す。
「言ってないわ!私の両親はリベラルなの。
人種の違いなんかまるで気にする人たちじゃイメージ 3
ないんだから」
その言葉通り、ローズの実家でクリスは手厚
い歓待を受ける。
両親だけじゃない、ローズの兄弟も、隣人も、
誰一人としてクリスを見下すような態度を取
らず、至って気さくに接してくれる。
でも。なにかがおかしい。なにかが。
当たり障りのない愛想笑いを浮かべつつも、
クリスは得も言われぬ違和感を募らせて行く―

年明け早々に全米で1億ドル超えのメガヒット
を放ち、話題になった一本。(今年は本作に
『スプリット』、そして『イット』と、3本の
メガヒットホラーが生まれたことになる)
まず前評判通り、ものすごく面白かったです。
新しくて、ユニークで、とても丁寧に練って
作られてる。今年最も観るべきホラー映画と
言って差し支えないと思う。
なんと言ってもメッセージが強烈。
絵面からお察しの通りに人種差別を取り扱
った内容なのだけど、なんだかんだ閉鎖的イメージ 4
白人社会に迷い込んでしまった黒んぼが
散々な目に遭う…とか、そんな普通の展開
予想していると凄まじい衝撃展開に顎が
外れること必至。
と言っても『フォーガットン』みたいなトンデモ
オチでは全くなく、きっちりしっかり騙される
のでご安心を、と言うかあんまり身構えても
つまらないんだけど。
「んなアホな!(笑)」的なホラ加減と、
「いや、これあり得るんじゃね?」
なんともシャレにならないリアルさ加減の
ブレンド具合が絶妙すぎる。
まずはこれ以上は書かないけども、
あまり予備知識を得ない内、なるべく早めに
観に行くことをオススメしたい。

ちなみに★が満点でなくて4なのは、
前日の飲み過ぎが祟って一瞬だけ寝オチしちゃったからで。なので伏線が一部回収で
きてない。
DVDが出たらまた観直してみよう♪
皆様も季節柄、飲み過ぎにはご注意を。


※ 以下、ややネタバレ気味。

本作のストーリーはオバマ大統領が生まれたイメージ 5
時に「これでもう人種差別は無くなった」と
でもいうような世間の風潮に対して
「いや。差別はまだまだあるんだよ」という
ことを訴えようと書かれたものらしい。
非難をし、締め出して、暴力を振るったりす
ることだけが差別じゃない。
表向きでは融和や共存を謳いながらも、
その実では黒人を騙し、不当に利用をしたり
搾取をする。それで世の中の一員として認め
てもらえるんならと、現状に甘んじてしまう
黒人も数多くいる。
結局アメリカは奴隷制の頃からなにひとつ
変わっていない。そう言いたいわけだ。

そしてこれはアメリカに限った話では決して
ない。
例えばもうすぐ駅伝の季節になるが、
初日の出を背にしながら黒光りしたランナー
が怒涛の爆走で居並ぶ日本人選手を抜い
て行く光景に違和感を感じたことはないだろ
うか。
大横綱が後輩力士をビール瓶でしこたま
殴ったとか殴らないとか、あれほど大騒ぎに
なったのは単に暴力沙汰という次元の問題イメージ 6
だったんだろうか。
黒人は足が速いから。
フィリピーナは素直で可愛くて一途だから。
中国人のバイトは安くて良かったけど、
今はさほどでもないし手癖が悪くて使い難い。
ベトナム人がマジメで最高。
受け入れてはいても同じ国で共に暮らす仲間
とは見なさず、そのオイシイところだけを
吸い取ろうとする門戸開放の欺瞞。
我が国も実は鎖国の時代から何も変わっては
いないのかもしれない。

映画『ザ・モンスター』~親はクズでも子は育つ

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原題 "THE MONSTER"イメージ 1
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 アトラス・インディペンデント
    アンブロークン・ピクチャーズ
製作費 $2,700,000
国内配給 ブロードメディア
日本公開 2017年2月11日
上映時間 91分

監督、脚本、製作 ブライアン・ベルティノ
製作総指揮 チャールズ・オーティ
    ソニー・モーリー
    リチャード・サックル他
製作 エイドリアン・ビドル
    アーロン・L・ギンズバーグ
    ウィリアム・グリーン他
撮影 ジュリー・カークウッド
音楽 トム・ハイデュ
    アンディ・ミルバーン
    (TOMANDANDY)
編集 マリア・ゴンザレス
配役 イローナ・スミス
美術 シェーン・バウチャー
衣装 ジェニファー・ストロードイメージ 2
出演
ゾーイ・カザン:キャシー
エラ・バレンタイン:リジー
アーロン・ダグラス:ジェシー
クリス・ウェブ:怪物

鑑賞 2017年12月12日
DVD 字幕(発売元:ハピネット)
★★★☆☆

ホームインベージョンスリラー
『ストレンジャーズ 戦慄の訪問者』(08)
で気鋭の新星扱いされて久しい、
ブライアン・ベルティノの新作。

主人公はいかにもだらしない感じの
シングルマザー、キャシー。
アルコール依存症で自堕落放題の毎日。
旦那はすっかり愛想を尽かして別居中。
これまたクズのカレシが家に出入りしてる。
10歳ほどの娘リジーと暮らしているが、
養ってるというよりはほぼ放置状態。
教育も躾もあったもんじゃない。
こんな親にリスペクトが生まれるはずもなく、イメージ 3
時に反抗的な態度を取る娘を感情まる出し
で怒鳴りつけたり暴力を振るったり。
まさにクズ親である。
子供よりも自分を優先してしまう。
子供を見る余裕もない、自分の世話を看る
だけで精いっぱいな親たち。
「子供が子供を産んだ」とよく揶揄されるが、
子供を持っちゃいけない未熟者がなんの
考えも覚悟もなしに子供を持つに至って
しまった。
なんとも気の滅入る話だが、こんな話は
自分たちの周りにもゴロゴロしている。
いや自分自身にもひとつふたつ、思い当た
る節がなくもないわけで。
こんなことじゃいけないのは分かってる。
酒をやめよう。マジメに働こう。親らしく、
子供の手本になるような生き方をしよう。
そうは思っているのに、出来ない。
頑張ってるつもりなのだが所詮は「つもり」。
どうしてもいつもの自分に戻ってしまう。

今日は元旦那と子供の面会日。
そしてそのまま引き取ってもらおう。
もう、ムリ。
あのご立派な旦那に育てられた方が、
きっとこの子にとって幸せなはず。イメージ 4
心の中ではそんなもっともらしい理屈で
育児放棄を決め込もうとしていた。
元旦那の住む街まで、娘と二人での車中。
娘は相変わらずムスッとしている。
ムリもない。朝寝坊して出発が大幅に
遅れてしまったのだ。
もう日が暮れようとしている。
雨も降ってきた。ああ、タバコ吸いたい。
ドライブインでビール飲みたい。
つか、いい加減運転つかれたし。
ダルい。どっかで降りてゴロゴロしたい。
気だるい空気の中、薄暗い森の中の一本道
を走らせていた時、突然大きななにかが
車の横合いに激突、車は大きくスピンして
大破、路肩に立ち往生を食らってしまう。
いったい何が起こったのか?
目を凝らすと、一本道の向こうに得体の
知れない「なにか」の姿があった―

まずベルティノ監督のことだから通り一遍
のクリーチャーホラーではないと思っては
いたけれど、クズママと娘のホントの絆を
描いたヒューマンドラマが主軸。
「モンスター」は飽くまでもメタファー。
その意味を考えて怖がってくださいねと。
それは分かるのだ。それでもかなりベタだイメージ 5
けど、狙いとしては面白いと思う。
ゾーイ・カザン(初見だったけど、エリア
・カザンのお孫さんなんだってさ)の
クズママっぷりはすごくリアルだったし、
娘役の芸達者ぶりも相当で見応えがあった。
ストーリーもなにか自身の体験に基づいた
ものでもあるんだろか、なにか身につまさ
れる「ガチ」なものが注入されてはいた。

ただベルティノさん、
『ストレンジャーズ』もこの前の
『鮮血ピエロの惨劇』は更に酷かったけど、
こだわるところはえらくキメキメな割に
そうじゃない所はものすごく手を抜いて来る。
殊にオハナシがあり得ないほどにツッコミ
どころ満載の穴だらけ。
いや、それないだろう。
なぜこのタイミングで外に出る?
この状況でそれをやってなんになる?
ホラー映画を突っ込みながら観るのが
野暮の骨頂なのは重々弁えてはいるけれど、
それでもこういった細かいリアリティの欠如、
殊にシリアスな雰囲気の中でバカげたミスを
犯されると観ている方は途端に白けてしまう。
なんと言っても「モンスター」のキグルミ然
とした作り込みには呆れるのを通り越してイメージ 6

失笑寸前。予算がないのは分かる。でも、
こういった内容なら「見えそで見えない。」
その瀬戸際で観客の想像力に委ねるとか、
もう少しましなやりようはあったんじゃない
かと思うのだけど。
『シャイニング』然り『ババドック』然り、
こうした「親と子」に纏わるテーマは今も尚
モダンホラーの王道と言っていいと思うし、
自分としてもすごくツボにはまるタイプなの
だけど、こうなってしまうと完全に空々しく
感じられてしまって。むしろ興味本位や
お涙頂戴ありきで子供の虐待を持ってきた
風にも見えてしまう。

とりあえずはそこそこの評価を得た本作。
長いことペンディング案件だった『ストレンジ
ャーズ』の続編がようやく動き出したものの、
監督は『海底47M』でスマッシュヒットを
収めたヨハネス・ロバーツが抜擢。
『海底~』の方はまだ観てないけども、
これはこれで楽しみではある。

映画『エクリプス』~スパニッシュ死霊館

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原題 "VERÓNICA"イメージ 1
製作年度 2017年
製作国 スペイン
製作 アパチェス・エンターテインメント
    エクスペディエンテ・ラ・ペリキューラ
    ソニー・ピクチャーズ・インターナショ
    ナル他
国内配給 ニューセレクト(DVDスルー)
日本公開 2017年10月28日
上映時間 106分

監督、脚本 パコ・プラサ 
脚本 フェルナンド・ナヴァロ
製作総指揮 マリア・アンギュロ
    マール・イルンダイン
    エンリケ・ロペス・ラヴィニェ
製作 ハビエル・カルネロス・ロレンゾ
撮影 パブロ・ロッソ
音楽 チャッキー・ナマネラ
編集 マルティ・ロカ
配役 アランツァ・ヴェレス
美術 ハビエル・アルヴァリーニョ
衣装 ヴィニェト・エスコバル
出演
サンドラ・エスカセーナ:ベロニカイメージ 2
ブルーナ・ゴンザレス:ルキア
クラウディア・プラセル:イレーネ
イヴァン・チャベロ:アントニート
アナ・トレント:アナ
レティシア・ドレラ:歴史の先生

鑑賞 2017年12月14日
DVD 字幕(発売元:ニューセレクト)
★★★☆☆

『REC』シリーズのパコ・プラサが
『REC3』から5年ぶりにメガホンを執った
最新作。
『REC』言えばどうしてもジャウマ・バラゲロ
のイメージが強いが、かと言ってプラサは
バラゲロの「じゃない方」では決してない。
作風こそ異なるものの、バラゲロに勝るとも
劣らない才気を持ったスパニッシュホラーの
「雄」じゃないかと思うわけで。

原題"VERÓNICA"

主人公のヴェロニカは女子高生。
父親が亡くなり、一人でお店を切り盛りするイメージ 3
母に代わり、幼い兄弟達の面倒を見ていた。
妹2人はヤンチャ盛りの生意気盛り。
一番下の弟はとにかく手が掛かる。
仕方ないとは思うけど、ホントは遊びたい
盛りのJK。胸の中の鬱憤は溜まる一方。
父さん、なんでこんな早く死んじゃうのよ。

1991年6月12日。
この日には珍しい皆既日食が観測されたが、
ヴェロニカは授業の観察そっちのけで
女友達3人で学校の地下室に忍び込み、
そこでウィジャボードを拡げた。
歴史の先生が言っていた。
日蝕は死者が訪れる刻。
父さんに会いたい。
その一心で死の世界に呼びかけると、
盤上のコップが激しく動き出し
ボードが真っ二つに割れ、ヴェロニカは
激しく叫び声をあげて失神してしまう。
やがて目を覚まし、なにごともなかったか
のようにアパートへ帰るが、そこから身のイメージ 4
回りに不思議なことが起こり始める―

―この映画はマドリッド警察のロメロ刑事
(既に退職)による報告書を基にしている―
BASED ON "TRUE" EVENTS
ハイ出ました週刊実話。なんでも「警察が
超常現象を認めた初の事件」なんだとか。
と言われて眉に唾を塗るかは貴方次第、
けどこれもホラーの王道のひとつなわけで。
要はアレです。今世界で稼ぎまくってる
ブラムハウスやジェームズ・ワン式の
パラノーマルホラーをスペインでも
やれるんじゃないかと。
カトリックならではのネタも豊富だし勝算は
十分ある。なんと言っても近年スパニッシュ
ホラーの隆盛で培われたノウハウ、そして
綺羅星の如くの人材がある。
そんな中でれっきとしたヒットメイカーと
しての抜擢がプラサであったかと。

と言うわけでさすがはプラサさん、
ごくテンプレ通りのパラノーマルホラーを
ソツなくこなして見せた感。
ただ作風としては相方のジャウマ・バラゲロイメージ 5
が「陰」とすればプラサはまさに「陽」。
ガチで背筋が凍るというよりかは能天気に
キャーキャー楽しむティーンズホラー、
つまりは『死霊館』よりは『呪い襲い殺す』
に近いライトな仕上がり。
『ポルターガイスト』や『エルム街の悪夢』等、
往年の名作ホラーへのオマージュやさり気
ない遊び心がプラサの持ち味。
辛気臭くなりがちなテーマをあたかも
青春の一コマのようにサラリと描いて見せた
あたりもこの人らしい。
そしてなんと言っても子供の使い方が抜群に
上手い。ジョー・ダンテやスピルバーグの影響
だろうか、可愛らしいだけじゃなく小生意気な
クソガキっぷりはロバート・ロドリゲスに近い
気もする。

そんな感じのユルめな仕上がりなので、
パラノーマル系に耐性の強い向きは退屈して
しまう向きもあろうかと。
ただ一応は「事実前提」なので、
最後にモノホンらしき画像が出てきます。
そこだけはガチで怖いのでご覚悟を。
それからおかーちゃん役が『ミツバチのささ
やき』のアナ・トレント。あれから45年、
当時の面影は当然ないけども、こうやって
女優さんを続けていたことにちょっと感動した。

映画『あなたに触らせて』~フラワーピンクの悪意とファンシーパープルの欺瞞

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原題 PIELESイメージ 1
英語題 SKINS
製作年度 2017年
製作国 スペイン
製作 ナディエ・エス・ペルフェクト
    ポキープシー・フィルムズ
国内配給 ネットフリックス 
上映時間 77分

監督、脚本 エドゥアルド・カサノヴァ 
製作 アレックス・デ・ラ・イグレシア
    カロリーナ・バングイメージ 2
    キコ・マルティネス
撮影 ノノ・ムニョス
音楽 アンヘル・ラモス
編集 フアンフェル・アンドレス
配役 ホセ・セルクエダ
    ピラール・モイヤ
美術 イドイア・エステバン
衣装 カロリーナ・ガリアナ
特殊メイク フアン・オルモ   
主演
マカレナ・ゴメス:ラウラ
ジョン・コルタジャレナ:グィレ
アナ・ポルヴォロサ:サマンサ
カンデラ・ペーニャ:アナ
エロイ・コスタ:クリスティアン
アナ・マリア・アヤラ:ヴァネッサ
カルメン・マチ:クラウディア
セクン・デ・ラ・ロサ:エルネスト
フアキン・クリメント:アレクシス
アントニオ・デュラン・モリス:シモン
イツィアル・カストロ:イツィアル

鑑賞 2017年12月16日
ネット配信(ネットフリックス)字幕
★★★★☆イメージ 3

ネットフリックスのリコメンド欄で
えらいヘンなの見つけちゃったよ~(汗)
まず、口にケツの穴というキョーレツな
サムネを見た時点で即マイリスト入りだった
んだけども。

英語題"SKINS"
ちょっと感動実話風な邦題とは裏腹に、
世にも奇妙な姿形に生まれ落ちた奇形の
人々を描いた群像劇。
両眼がなく(盲目ではない、無いのだ)、
そこにダイヤモンドを貼り付けた女。
口と肛門があべこべに付いている少女。
顔面の左半分が溶けたように垂れた中年女
と全身の皮膚がケロイド状に爛れた男。
遺伝性の軟骨無形性症で四肢が短い女。
これら「健常じゃない」人々が世に蔓延る
不都合や差別に晒されながら生きる姿を、
主としてコミカルに、時に悪意たっぷりに
描き紡いで行く。

アレックス・デ・ラ・イグレシア製作と
いう時点である程度察してはいたけれど、イメージ 4
なんともエッジが効いたというかブッ飛んでる
というか、なかなか一筋縄では行かない
カルト寄りの逸品でありました。
ただはじめこそフリークスのルックスに
驚きはしたものの、それよりなにより
しょっぱなからばーさんのオールヌードに
ド肝を抜かれた。しかもあそこの毛がピンク色…
そして異常に太った女というのが出てくるが、
これはどこにでも普通に存在するレベルで
決して「健常じゃない」とは言えない。
しかし自分の身体にコンプレックスを抱えて
いて、他人に触られるのを頑なに拒む。イメージ 5
また畸形者にしか欲情しない男、健常者の
息子に愛情を感じない父と自分の脚に
違和感を感じる「身体同一性障害」の息子。

あくまでも常識的な共通認識として、
いかなる姿形に生まれようとも人は等しく
自由に生きる権利がある。とは言うものの、
こうした障碍者の人達が暮らして行くには
厳然とした困難が存在することは事実。
かと言って彼らは真に不自由なんだろうか。
美しくはないんだろうか。
むしろ、美しくあれ。ノーマルであれ。
常に、満ち足りた人間であれ。
そんな強迫観念に囚われているのは
自分の方じゃないだろうか。
いや、自分が欠けているものに気付かずに
小さな生き方に甘んじていることこそ窮屈で
不自由とは言えまいか。

…とかなんとか、そんなことを思いながら
感想を書いていたのだけど、
監督→がえらくイケメンなんでムカついた。



全米最新映画ランキング 2017年12月15‐17日

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BOX OFFICE TOP 10
weekend of December15‐17, 2017

1. 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』イメージ 1
 (ブエナヴィスタ)
1週目 週末興収$220M 総興収$220M
※週末3日だけで$2億超え。予想通りとは言えやっぱりスゴイ。

2. 『フェルディナンド(原題)』
 (20世紀フォックス)
1週目 週末興収$13.4M 総興収$13.4M
※『アイスエイジ』等のブルースカイ・スタジオ製作のアニメーション作品。

3. 『リメンバー・ミー』
 (ブエナヴィスタ)
4週目 週末興収$9.9M 総興収$150.7M
※こちらはピクサー作品。前週まで3週連続トップ。

4. 『ワンダー Wonder』
 (ライオンズゲート)
5週目 週末興収$5.2M 総興収$109M
※ジェイコブ・トレンブレイ君が顔に障害のある少年役という、号泣必至のファミリードラマ。

5. 『ジャスティス・リーグ』
 (ワーナーブラザース)
5週目 週末興収$4.3M 総興収$219.6Mイメージ 2
※次の『アクアマン』が心配になってきた。ジェームズ・ワンでスベったらDCはもう終わりかと。

6. 『ダディズ・ホーム2(原題)』
 (パラマウント)
6週目 週末興収$3.8M 総興収$96.6M
※ウィル・フェレル主演『パパVS新しいパパ』のパート2。

7. 『マイティ・ソー:バトルロイヤル』
 (ブエナヴィスタ)
7週目 週末興収$3.1M 総興収$306.5M
※安定のマーベル印。監督は『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』のタイカ・ワイティティ。

8. 『ザ・ディザスター・アーティスト』
 (A24)
3週目 週末興収$2.7M 総興収$13M
※ジェームズ・フランコ初監督のコメディ映画。

9. 『オリエント急行殺人事件』
 (20世紀フォックス)
6週目 週末興収$2.5M 総興収$97.3M
※まるでソソらんけど、評判はそこそこいい
ようで。まあ、ケネス・ブラナーだしなあ。

10. 『レディ・バード / Lady Bird』
 (A24)
7週目 週末興収$2.1M 総興収$25.9M
※シアーシャ・ローナン主演の青春映画。

映画『ザ・ベビーシッター』~ぼくを寝かせたその後に

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原題 THE BABYSITTERイメージ 1
製作年度 2017年
製作国 アメリカ
製作 ボイズ/シラー・フィルム・グループ
    ニュー・ライン・シネマ
    ワンダーランド・サウンド&ヴィジョン
国内配給 ネットフリックス
配信開始日 2017年10月13日
上映時間 85分

監督、製作 マックG
脚本 ブライアン・ダフィールド
製作総指揮 スティーヴン・ベロ
    ジェームズ・マクガーフ
    デヴィッド・シーゲル他
製作 ザック・シラー
    メアリー・ヴィオラ他
撮影 シェーン・ハールバット
音楽 ダグラス・パイプス
編集 マーティン・バーンフェルド
    ピーター・グウォズダス
配役 リッチ・デリア
美術 クリステン・ヴァロウ
衣装 ハンナ・ジェイコブズ
出演
ジュダ・ルイス:コール
サマラ・ウィーヴィング:ビー
ロビー・アーメル:マックス
ハナ・メイ・リー:ソニア
ベラ・ソーン:アリソン
エミリー・アリン・リンド:メラニー
アンドリュー・バチェラー:ジョン
ダグ・ヘイリー:サミュエルイメージ 2
レスリー・ビブ:母
ケン・マリーノ:父

鑑賞 2017年12月18日
ネット配信(ネットフリックス)字幕
★★★☆☆

すっかり親に甘やかされてるヘタレ男子の
コール君。いい年こいて今だにベビーシッ
ターを付けられてる。
ぼくはもうベビーじゃない。
そこは確かに屈辱ではあるのだけど、
このベビーシッターというのが目の覚める
ようなセクシーギャル。
強くて、ノリが良くて、ヒーローや映画に
超詳しくて、そしてこんなぼくを子ども扱
いせず一人前の男として接してくれる。
いいやつなのだ。サイコーなのだ。
が、ある日。
「あんたを寝かしつけた後、シッターが
なにをやってるか知ってる?」
向かいのジョシがそんなことを言い出した。
ボーイフレンドを連れ込んで、リビングのイメージ 3
ソファでSEXしてんのよ。それがベビー
シッターの相場ってもんだわ。
まさか。ぼくのビーに限ってそんなこと。
信じたくはないが激しく興味をソソられて
しまったコール君はある夜、その真実を
確認することにする。
階段の踊り場からリビングの様子を覗いて
ると、やがてボーイフレンド…ではなくイメージ 4
やって来たのは5人の上級生。
え。まさか乱交パーティ?と思いきや、
怪しげな儀式をおっ始めたからさあ大変。

美人シッターがカルトな悪魔崇拝者だった!

その一部始終を見てしまった少年が
ビッチなシッター率いるカルトな上級生と
家の中で激しく攻防を繰り広げる
『ホームアローン』的展開に。
ただしハデに血しぶきに臓物やら脳みそが
飛び散るスプラッタ仕様。乗り込んで来たイメージ 5
警官もついでにズッタズタ、おバカな『屋
敷女』と言えなくもない。
監督のマックGは『チャーリーズ・エンジ
ェル』や『ターミネーター4』の人。
正直あまり内容のある作品を志向する人で
はないけども、このペラペラっぷりがこの
能天気な企画、そしてネット配信という
お手軽メディアにマッチした。
上級生のメンツが白人のジョックスにチア
リーダー、剽軽者のニガーにアジア系の
ゴス女子、ナードのユダヤ人という典型的
な学園ドラマのキャラというのが面白い。イメージ 6
(実際演じているのはテレビドラマで人気
の人たちらしい)
ベビーシッターに面倒を見られていた少年
がこうした「大人たち」との戦いを経て
少しだけ成長していくオハナシなのだけど、
ムダにセンシティヴにならずにカラリと
笑い飛ばす、コメディのスタンスを貫いた
あたりも潔い。
ナードな映画や音楽へのオマージュが多い
のもこの監督のイロだけども、そのセンスイメージ 7
は相変わらずいまひとつ。
並以下の人間がクイーンを使うとあからさ
まにスベってしまうという典型例であった。

80分ちょいと尺も短いので、
能天気に笑いながら一気に観れる。
前の『ヒットマンズ・ボディガード』も
そうだったけど、やはりこういった
お茶の間感覚で観れるライトな映画が
ネットフリックスにはよく合う。
次なるネットフリックス・オリジナルは
ウィル・スミス主演の『ブライト』。
なんだか『エイリアン・ネイション』を
パクった感じのバディもののようだけども、
配信開始は12月22日。即観よう♫

映画『サンズ・オブ・ザ・デッド』~ビッチとゾンビのヤサグレ珍道中

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原題 IT STAINS THE SANDS REDイメージ 1
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 デジタル・インターファレンス・
プロダクションズ
    グラスウッド・メディア
国内配給 ギャガ
日本公開 2017年11月2日
上映時間 92分

監督、脚本、編集 コリン・ミニハン 
脚本、製作 スチュアート・オーティス
製作総指揮 ブリタニー・アレン
    マーク・ミラード
製作 ブランドン・クリステンセン
    ビック・トラン他
撮影 クレイトン・ムーア
音楽 ブリッツ//ベルリン 
出演
ブリタニー・アレン:モリー
ジュアン・リーディンガー:スモール
メルウィン・モンデジール:ニック
ニコ・デイヴィッド:チェイス

鑑賞 2017年12月20日イメージ 2
DVD(発売元:ギャガ)字幕
★★★★☆

コリン・ミニハンとスチュアート・オーティス
2人組、ヴィシャス・ブラザースの
『グレイヴ・エンカウンターズ』は当世流行
のファウンド・フッテージを模しながら、
見え見えのインチキにコロリと騙される輩を
カラリと嘲笑った一作だった。
次なる『エクストラテレストリアル』でも
所謂「サードコンタクト」や「アブダクト」
のベタなパターンを並べ立てて十羽一絡げに
笑い飛ばしていた。
一種のブラックユーモアと言えなくもないが、
時として笑いの矛先を見ている観客自身に
向けてくる。
「いやあれギャグだから!!
ちょーウケるんですけどwwww」
いかにもイマドキの子らしい、イケ好かない
感性の作り手という印象だったわけで。

そんな2人組(ヴィシャス・ブラザースは
もう名乗ってないようだが)の最新作は
表題通りのゾンビもの。イメージ 3
原題"IT STAINS THE SANDS RED"。
(「それ」が砂漠を赤く染める)

モリーは典型的なクズの中年女。
元ストリッパーでアル中兼ジャンキー。
分厚い化粧にピチピチの豹柄パンツ、
ヨレヨレ金髪の先だけピンクもまたイタい。
これまたクズのニガーのカレシと車に乗り込
み、砂漠の中の一本道を飛ばしていた。
車の中にはブツが積まれていて、飛行場で
待っている仲間と合流してメキシコへ
高飛びをするのだ。
が、砂地の深みにタイヤがハマって立ち往生
を食らってしまう。イメージ 4
困ったなあ。人なんか滅多に通らないし、
ケータイも全然繋がらない。
途方に暮れていると、一本道の向こうから
何者がふらふらと歩いて来る。
目を凝らしてみると、砂塵の中から姿を
現したのは一匹のゾンビであった―!

すったもんだの末にカレシは死亡。
モリーはブツとありったけの飲料水を掴ん
で砂漠の中へ駆け出して行く。
幸いゾンビはノロノロ足のロメロ型。
走って逃げれば遥か彼方。
が、ツイてないことにモリーは生理中。
どこまで逃げても血の匂いに惹かれて
ゾンビが追って来る。

どんだけ逃げても、どんだけ離れててもイメージ 5
一歩一歩着実に距離を詰めてくるというの
は前にも『ゾンビ大陸アフリカン』があっ
たが、こちらはそのゾンビがたった一匹。
しかも追われる方がバカなので、なんとか
やっつけようとか考えずにとりあえずは
走って逃げる、疲れて休んでるうちに追い
つかれるの繰り返し。
飛行場を目指す女と、少し間を開けて
それをとぼとぼ追うゾンビ。
決して一緒に歩いてるわけではないのだ
けど、二人の男と女が荒野を旅するロード
ムービーの様相に笑いが漏れる。
いつまでもしつこく付いて来るゾンビに
はじめ女は「ついてくんなったら!」
「ストーカーみたいでキモいんだよ!」
「どうせ死ぬ前もモテなかったんだろ」
ブサイクだのスーツがダサいだの、
罵詈雑言の限りを浴びせかけ、終いにはイメージ 6
「アッチの方も短小に決まってる」と
「ショート」なるアダ名を付ける。

もちろん所詮はゾンビだから、こっちの
言ってることなんか伝わってるわけがない。
でも、女はゾンビに語り掛ける。
自分の過去のこと。
失くしてしまったものや後悔していること。
やがてゾンビの姿を見て気付く。
こんなにも強く、自分が求められたことが
あっただろうか?
こんなどうしようもない自分が。
そして思い出す。あったのだ。こんな自分
を必要としてくれる存在が。
はじめは共感なんかビタ一文持てなかった
クズの中年女が、忘れていた大事な使命に
気付いた瞬間。その満ち足りた笑顔に不覚
にもウルっと来てしまった。
ヴィシャスのお2人、もしやこれもギャグ
だとは言わんよな。
今までのは照れ隠しだったのかもしれない
けど、今回のは素直に良かったよ。

映画『アイム・ノット・シリアルキラー』~ドクvs.中2病

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原題 I AM NOT A SERIAL KILLERイメージ 1
製作年度 2016年
製作国 アイルランド、イギリス、アメリカ
製作 フラッドランド・ピクチャーズ
    アイリッシュ・フィルムボード
    ファンタスティック・フィルムズ他
製作費 €1.254.470
国内配給 松竹
日本公開 2017年6月10日

上映時間 104分

監督、脚本 ビリー・オブライエン
脚本 クリストファー・ハイド
原作 ダン・ウェルズ
製作総指揮 ロバート・ジョーンズ
    ウェイン・マーク・ゴドフリー
    ジョン・マクドネル他
製作 ジェームズ・ハリス
    マーク・レーン
    ニック・ライアン他
撮影 ロビー・ライアン
音楽 エイドリアン・ジョンストン
編集 ニック・エマーソン
美術 ジェニファー・クライド
配役 カーステン・グレガースンイメージ 2
    コリン・ジョーンズ
衣装 デボラ・フィスカス
出演
マックス・レコーズ:ジョン
クリストファー・ロイド:クロウリー
ローラ・フレイザー:エイプリル
クリスティナ・ボールドウィン:マーガレット
カール・ギアリー:ネブリン先生
ディー・ノア:ケイ
ルーシー・ロートン:ブルック

鑑賞 2017年12月21日
DVD(発売元:松竹)字幕
★★★☆☆

葬儀屋の息子ジョンはごくごく普通…では
なく、かなりヤバ気な高校生。
火遊びに失禁癖、動物虐待と
見事に衝動型殺人の初期症状をクリアし、
カウンセラーにもソシオパス(社会病質者)
の傾向ありと診断されていた。
猟奇殺人に異常なほどの興味を持ち、
テッド・バンディやジェフリー・ダーマ―を
まるでヒーローのように語る。イメージ 3
家の商売がら無残な死体を目にする機会が
多いというのも大きな懸念材料。
家族もそんなアブない息子を心配して、
あまり家の手伝いをさせないようにしていた。

当の本人もそんなことは重々自覚していて、
自分もいづれはきっと、取り返しのつかない
ことをしてしまう。
だから。自分なりにルールを課して、
タガが外れないようにして生きていたのだ。

そんなジョンの暮らす田舎町ではこのところ、
異様な猟奇事件が頻発していた。
死体は無残に引き裂かれ、体内からは臓器
が抜き取られているのだ。
いったい誰が?なぜ?どんな風に?
当然ジョンは興味津々。
事件の跡を嗅ぎまわるうち、近所に住む
老人がその犯人であったことを知る。

原題"I AM NOT A SERIAL KILLER"
(わたしは連続殺人鬼じゃない)
邦題もほぼ同じだが、
"I'M NOT~"が標準的な否定なのに対し
"I AM NOT~"はより強いニュアンスになるイメージ 4
と英語の先生に教えられた覚えがある。

周りからはすっかり殺人鬼予備軍と見なされ、
自分もいつかはそうなるんじゃないかと
ビクついていた少年が、モノホンの殺人鬼が
すぐ隣で何食わぬ顔をして暮らしていたこと
を知る。
殺人鬼に扮するはご存知jBTTFのドクこと
クリストファー・ロイド。御年79歳。
昔からおじいちゃんのイメージだったけど、
更にヨボヨボで奥さんに寄り添って朗らかに
笑う様はまさに好々爺。こんな人の好さそな
じーさんが一転すさまじい身のこなしで人を
瞬殺し、腹を引き裂いて臓物をワシワシ喰ら
うからビックリしてしまう。
対する少年役のマックス・レコーズは
『かいじゅうたちのいるところ』で主役を
張ってた子。言われるまで気づかなかったが
『かいじゅう~』の頃のナイーヴな面影は
なるほどそのまんま。お芝居の方もえらく
達者で、なかなかクセの強い本格派と言える
んじゃないだろか。

日常と異常の狭間で、吸い込まれそうな闇の
魅力に抗おうとする少年の姿をカメラは静か
に追う。敢えて16ミリの粗い画像で捉えたイメージ 5
荒涼とした雪景色、そして生々しい臓器感覚
はクローネンバーグ映画を彷彿とさせる。
やがてはシリアルキラーとの邂逅を経て、
これまで少年が心の中に押し込んでいた
怪物が解放されるのかと思いきや…

えっ!?
そう来るか~~!!(爆)

想像を絶する衝撃展開に仰天必至。
みなさんもネタバレしないうちに是非どうぞ。





でも、怒んないでね。

映画『ブライト』~中つ国からやって来た相棒

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原題 BRGHTイメージ 1
製作年度 2017年
製作国 アメリカ
製作 クラブハウス・ピクチャーズ
    オーバーブルック・エンターテインメント
    ネットフリックス
製作費 $90,000,000
国内配給 ネットフリックス
配信開始 2017年12月22日
上映時間 117分

監督、製作 デヴィッド・エアー
脚本、製作総指揮 マックス・ランディス
製作総指揮 アダム・メリムズ
製作 エリック・ニューマン
    ブライアン・アンクレス
撮影 ローマン・ヴァシャーノフ
音楽 デヴィッド・サーディ
編集 マイケル・トロニック
美術 アンドリュー・メンジーズ
配役 リンゼイ・グラハム
    メアリー・ヴァーニュー
衣装 ケリー・ジョーンズ
出演
ウィル・スミス:ウォードイメージ 2
ジョエル・エドガートン:ジャコビー
ノオミ・ラパス:リーラ
ルーシー・フライ:ティッカ
ヴェロニカ・グゥ:ティエン
ジェイ・ヘルナンデス:ロドリゲス
エドガー・ラミレス:カンドミア

鑑賞 2017年12月22日
ネット配信(ネットフリックス)字幕
★★★☆☆

最近えらく調子に乗ってる
ネットフリックスの限定オリジナル新作はイメージ 3
ウィル・スミス主演のアクション超大作。
総製作費9千万ドル。名だたるメジャー
各社が買い付けに名乗りを上げた中で、
ネトフリがゴリゴリに競り落としたんだとか。
ホントに調子に乗ってんなあ。
とりあえず先日配信開始と言うことで、
さっそく観てみた。

ウィルスミ先輩はロス市警の古株刑事という
役どころなのだけど、その相棒がオーク―
魔王の下で専らザコ的な役割を担っていた
ブサイクなバケモノなんである。イメージ 4
要は『エイリアン・ネイション』や
『ゾンビコップ』、『ヒドゥン』など
といった人外と人間を組ませて
そのありえないほどのギャップを楽しむ
「変則バディもの」のパターンなのだけど、
これにプラス、ファンタジーの世界が
ミックスされた世界観の作り込みが面白い。
いつともどことも知れぬ、別次元のLA。
そこでは野良犬ならぬ野良フェアリーが
深刻な環境問題。エルフはセレブみたいに
小綺麗な専住区画で暮らし、人間はその外
の古い街に住む中産階級。オークは更に
その下、ダウンタウンのスラムでヒスパニッ
クやらと一緒に貧困と犯罪にまみれた生き
方を強いられている。
この格差社会を問題視した政府の融和政
策により、オークから警官に登用された奴
組むハメになってしまったウィルスミ先輩。
はじめは「魔王のザコが」と小馬鹿にしてい
たが、やがて共に任務に当たるうちにアツい
信頼が生まれ…

先日のジャパン・プレミアでウィル先輩はイメージ 5
「オレの主演作3本分の面白さが詰まった
映画だ!」と語ったそうだけども、
それって『バッド・ボーイズ』と
『メン・イン・ブラック』と、
あとは『アフター・アース』かな。うーん…
設定自体はそこそこ面白いのだけど
ストーリーが思いのほかに盛り上がらず、
全般的にとっ散らかった印象。
殊に主人公もバディも悪者も言動に一貫性イメージ 6
が取れておらず、お前らどうしたいの?と
首を捻る場面もしばしば。
脚本のマックス・ランディスは
かのジョン・ランディス師匠のご子息。
他に観てないので一概には言えないけども、
本作の粗いストーリーテリングやギャグの
スベリ具合から察するに父上ほどの才は
受け継いでいないのかも。
次は『狼男アメリカン』をリメイクするら
しいけども、あまり過度な期待は禁物か。
アクションやスペクタクルも妙に安っぽく、
一昔前の「SFX映画」を見ている感じ。
あの予算でこの程度?といった出来合いな
のだけど、もしやウィルスミのギャラに
割を取られてしまったか。
正直、映画館で観てたら金カエセのレベルか
と思うのだけど、ネット配信の月額課金内と
思えば腹も立たない(笑)イメージ 7

にしてもやっぱり、ウィル・スミスは
老けちゃったな。
『アイ・アム・レジェンド』や『MIB3』
の頃は「面白くてクールな黒んぼ」には
留まらない、なんとも味わい深い芝居を
見せてくれてたと思うのだけど、なんだか
若い頃の芸風を惰性で繰り返してるように
しか見えなかった。往時のキラキラした
オーラは見る影もなく、特殊メイクとCG
に覆われた本格派のジョエル・エドガート
ンに完全に食われていた。イメージ 8
(「イモ系」エドガートンがあまりにハマ
りすぎたというのもあるが)
もしやご本人としては既に「やり切った」
的な心境なんだろうか。かつて『ID4』の
雄姿にアツくなった身としては、このまま
「あの人は今」になって行くのを見るのは
なんとも忍びないのだけど。

全米最新映画ランキング 2017年12月22‐24日

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BOX OFFICE TOP 10イメージ 1
weekend of December22‐24, 2017


1. 『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
 (ブエナヴィスタ)
2週目 週末興収$68.5M 総興収$365M
※賛否両論というかアツい否ばかりが聞こえてくる。自分はイイと思ったけどなあ。

2. 『ジュマンジ2/ウェルカム・トゥ・ジャングル』ソニー/コロンビア)
1週目 週末興収$34M 総興収$34M
※邦題では『2』ってことは一応続編?主演ドゥエイン・ジョンソン、共演にカレン・ギラン、ジャック・ブラック。

3. 『ピッチ・パーフェクト3』
 (ユニヴァーサル)
1週目 週末興収$20.4M 総興収$20.4M

4. 『グレイテスト・ショーマン』
 (20世紀フォックス)
1週目 週末興収$8.6M 総興収$8.6M

5. 『フェルディナンド(原題)』イメージ 2
 (20世紀フォックス)
2週目 週末興収$7M 総興収$26.5M
※結構売れ筋なのになんで未だに(原題)なんだろ?自分は見ないけど

6. 『リメンバー・ミー』
 (ブエナヴィスタ)
5週目 週末興収$5.2M 総興収$161.3M

7. 『ダウンサイズ』
 (パラマウント)
1週目 週末興収$4.6M 総興収$4.6M
※マット・デイモンが13センチに!?アレクサンダー・ペイン監督のSFコメディ。

8. 『ダーケスト・アワー(原題)』
 (フォーカス・フィーチャーズ)
5週目 週末興収$4.1M 総興収$6.9M
※ゲイリー・オールドマンがチャーチル首相に扮して話題になってる一本。はじめはたった4館の封切だったのがこの週末で800館に拡大公開。この手は滅多に観ないけど、面白いのかな?

9. 『ファーザー・フィギュアズ(原題)』イメージ 3
 (ワーナー・ブラザース)
1週目 週末興収$3.2M 総興収$3.2M
※グレン・クローズ主演のホームコメディ。共演にエド・ハリス、J・K・シモンズ等

10. 『シェイプ・オブ・ウォーター』
 (フォックス・サーチライト)
4週目 週末興収$3M 総興収$7.6M
※ギレルモ・デル・トロの新作は半魚人と中年女のラブストーリー。日本公開は来年の3月。早く観たい!

映画『ウルフ・アット・ザ・ドア』~おまえん家、天井低くない?

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原題 WOLVES AT THE DOORイメージ 1
製作年度 2016年
製作国 アメリカ
製作 ニュー・ライン・シネマ
日本公開 2017年8月2日
上映時間 73分

監督 ジョン・R・レオネッティ
脚本 ゲイリー・ドーバーマン
製作総指揮 ウォルター・ハマダ
    ハンス・リッター
製作 ミシェル・モリセイ
    ピーター・サフラン
撮影 マイケル・セント・ヒレア
音楽 トビー・チュー
編集 ケン・ブラックウェル
美術 ボブ・ケンシンジャー
配役 リッチ・デリア
衣装 ジャネット・イングラム
出演
ケイティ・キャシディ:シャロン
エリザベス・ヘンストリッジ:アビー
アダム・キャンベル:ヴォイチェク
マイルズ・フィッシャー:ジェイ
クリス・マルキー:ジョンイメージ 2
ジェーン・カズマレック:メアリー
スペンサー・ダニエルズ:ウィリアム
ルーカス・アダムズ:スティーヴン

鑑賞 2017年12月25日
DVD(発売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテインメント)字幕
★★★☆☆

1969年の夏。
女優シャロン・テートが住むハリウッド
郊外の邸宅にカルト教団の一味が侵入、
テート他3名の男女が惨殺された。
この時テートは妊娠をしていたが、
腹を裂かれ中から取り出された赤ん坊も
殺されていたという。

先月服役中のまま83歳で死去したイメージ 3
カルト指導者チャールズ・マンソン。
その鬼畜の如き所業で世界中を震撼させた
「シャロン・テート事件」を映画化した作品。

"based on true events"

完全に実話ベースの話なので、
並以下の作り手ならお決りのモキュメンタ
リーでやりそうなところだけども、これを
『ファニーゲーム』や『ストレンジャーズ』、
『正体不明THEM』のようなホームインベーイメージ 4
ジョン・スリラーに仕上げて見せた。
監督は『アナベル』のジョン・レオネッティ、
脚本ゲイリー・ドーバーマン、製作ピーター・
サフランと、完璧に『死霊館』の製作チーム。
レオネッティはジェームズ・ワンの下で長いこ
と撮影監督を務めた人なので、ワン流のホラー演出をしっかり心得てる。
殊に屋敷内のパーティションや段差、
死角を巧みに捉えたカメラワークが抜群で、
前の『アナベル』もそうだったが今回もホーム
インベージョン(住居侵入)という、やはり
「家」を主に据えた舞台でその腕が遺憾なくイメージ 8
発揮されていた。

開け放たれた裏口に、全然知らない人間が
立っていた。それを目にした瞬間の恐怖。
ヘタに顔を隠されるより全然怖い。
誰なのか、なんの目的で来たのか、まるで
分らないのがとにかく怖い。
ただ招いてもいないのに勝手に上がり込む
客の目的なんてロクでもないに決まってる。イメージ 5

こんな家、オレ様の息で吹き飛ばしてやらあ
それ、ふうううー…!!

しっかりカギを閉めたドアもセキュリティも、
確固たる他人の悪意の前にはワラの家に
しいということか。
なかなか面白かったけども、ちょっとシンプル
過ぎたか。まず事実ベースなんでやむを得
ない部分もあるが、もう少し風呂敷を拡げるイメージ 6
余地はあったんじゃないかと。
もしや73分とランタイムが異様に短いのは、
シャレにならない箇所をぶった切った結果だ
ったのかとか思ったり。

殺されたシャロン・テートの夫が著名な映画
監督ロマン・ポランスキーということもあり、
この凄惨極まりない事件はマンソンの悪名を
一気に轟かせたが、その実マンソンは殺害の
指示をしたのみで、実行犯は「スター」である
マンソンに心酔するグルーピーたちであった。
一説にマンソンは非常に肝の小さな人物で、イメージ 7
直接に手を下すどころか現場で血を見るのも
嫌がったとか。
そしてマンソンは商売でひと悶着あった
音楽プロデューサーを殺したかったのだけど、
その音楽プロデューサーは屋敷から引っ越
した後であり、そこにたまたま居たのがシャ
ロン・テートであった。しかし指示者不在の
実行部隊にターゲットの見分けがつくはずも
なく、まるで関係のない5人の男女が「無差
別に」殺されてしまう。つまりは殺す相手を
間違えていたのだ。

ジム・ジョーンズと並んで「カルト」のパブリ
ックイメージを成した人物であるが、このなん
とも気の抜けた実情を聞くと極悪人のイメー
ジも遠のく。と同時に我が国の「オウム」同
様、時として想像を絶するほどの地獄を
現出させる、愚者の妄想というかピュアな
思い込みに空恐ろしいものを感じる。

映画『ブラッディ・ツイン』~私の頭の中の双子の姉

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原題 LET HER OUTイメージ 1
製作年度 2016年
製作国 カナダ
製作 ブラック・フォーン・フィルムズ
    ブレイクスルー・エンターテインメント
国内配給 ギャガ
日本公開 2017年6月2日
上映時間 89分

監督、脚本、製作 コーディ・キャラハン
脚本 アダム・セイボルド
製作総指揮 ナット・エイブラハム
    アイラ・レヴィ
    マイケル・マクギガン
    ピーター・ウィリアムスン
製作 チャド・アーチボルド
    クリストフ・ジルー他
撮影 ジェフ・メイハー
音楽 ステフ・コープランド
編集 ダンカン・クリスティ
美術 スティーヴ・デュボワ
配役 アシュリー・ハリハン
特殊メイク ショーン・ハンター
出演
アラナ・ルヴィエルジュ:ヘレンイメージ 2
ニーナ・キアリ:モリー
アダム・クリスティ:エド
ケイト・フェントン:ヘドリー医師
マイケル・リプカ:ローマン
ブルック・ヘンダースン:ヘレンの母
グレン・レイド:黒装束の男

鑑賞 2017年12月27日
DVD(発売元:ギャガ)字幕
★★★★☆

むかしむかし。安モーテルに住み込んで
客を取って暮らす淫売女が、
ちょっとカルト風の客を相手にしたら
めでたくご懐妊。
行く末に悲観した淫売さんは
大きくなった腹にハサミを突き立て、
母子共々死のうとする。
母はクズだが赤ん坊に罪はない。
結果母だけが死に、一人の女の子が
元気な産声を上げこの世に生を受けた。

-それから23年が過ぎ。
例の女の子はヘレンと名付けられ、イメージ 3
美しい女性に成長していた。
それなりに自立した暮らしを送っていたが
ある日交通事故に遭い、
昏睡から覚めた時から頻繁に記憶が飛ぶ
ようになってしまう。
病院でMRIを撮ってみると、そこには驚く
べき結果が写し出されていた。
実はヘレンには胎内で吸収されてしまった
双子の姉妹がいて、その組織が腫瘍となっ
てヘレンの脳を圧迫していたのだ。イメージ 4

「バニシング・ツイン」
漫画「ブラック・ジャック」でピノコ出生の
クダリを読んだときは衝撃だった。
双子の一方が胎内で十分に成長をせず、
母体かもう一方の胎児に吸収されてしまう。
さほど珍しいことではなく、双胎妊娠では
10~15%の割合で起こり得るらしい。
ただ吸収された後も完全に同化せず、
別個の生体として成長を続けるケースもイメージ 5
稀にあるんだとか。大きな腫物かと思って
切開をしたら、中から片割れのパーツが
ゴロゴロ出て来た…とか、想像するだに
トラウマもんである。

そんな世にも奇妙な生体の驚異を
クローネンバーグ風のボディホラーとして
描いたのがこの映画。
腫瘍と化した双子の片割れが確固たる意志
を持っていて、
私を出して。私だって生まれたい。
五体満足に生まれてきた主人公に取ってイメージ 6
代わろうとする。
洗面所の鏡の前で、己の肉体が刻々と変容
を来して行く様を目の当たりにする悶絶の
描写はまさにクローネンバーグ。
クオリティはいまひとつだが、グログロの
特殊メイクで徹頭徹尾ダイレクトに見せ切
る心意気が嬉しい。フレンチゴアさながら
なベトベト流血模様もなかなか。
唯、最後のメタモルフォーゼはもう一声
気張ってほしかったところ。

一方主人公も生まれる前に母親に殺されかイメージ 7
けたことからその死生観に深刻な闇を抱え
てしまっている。
私は生まれるべきじゃなかった人間。
誰にも望まれず、なんの役にも立たず、
所詮はあの罰当たりで淫売の母親と同じ。
そんな自己否定からなる強迫観念が肉体の
変容をもたらすという含みも面白い。
なんか最近見たような雰囲気と思ったら、
『THE BITE 変身する女』とまるっきり
同じ製作チームだった。イメージ 8
カナダのインディーズと言うことで、
やはりクローネンバーグへのリスペクトは
並々ならぬものがあるんでしょう。
その作品性を受け継いでいこうという意思が
しかと感じられるが、飽くまでも覚め切った
神の視点なクローネンバーグに対してこちら
は非常にパーソナル。
下世話なエログロホラーと思ってると、
思いもがけずグッとくる瞬間があり。
幼馴染とのセンチなやり取りも良かった。
非常にチープで地味な仕上がりながら、
『バスケットケース』を彷彿とさせる
ツインズホラーの良作だったと思う。

そこはそれ、そこをなんとか!玉吉杯ホラー大賞2017

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またこの季節がやってまいりました、
今年一番面白いホラー映画を決める玉吉杯。
よう飽きもせずにやるもんだと回数を数えてみたら
今度でもう9回目になってた。
過去のグランプリを改めて眺めてみると、
2009年 『永遠の子供たち』
2010年 『ぼくのエリ 200歳の少女』
2011年 『レイク・マンゴー アリス・パーマー最期の3日間』
2012年 『ムカデ人間2』
2013年 『トールマン』
2014年 『肉』
2015年 『ババドック 暗闇の悪魔』
2016年 『アイアムアヒーロー』
我ながらバラバラだなあ。まあいいけど。

今年観た映画は150超と例年になくたくさん見たのだけど、
キングコング祭りやらパイカリやらマーベルやら
ホラーじゃない方面にウツツを抜かしてたのもあって、
新作ホラーのエントリーは71本。(※エントリー規定は省略)
以下ランキング形式で並べて行くこととします。


10位 『ライト/オフ』
イメージ 1
原題"LIGHTS OUT" (2016年アメリカ)

封切になったのは去年の暮だけど、
観たのが今年ということでエントリー。
「明かりを点けると見えないが、消すと現れる」
いかにも投稿動画らしいシンプルかつ鉄板の
ビビらせ仕様にジェームズ・ワン式の王道ハウス
ホラーをミックス。
監督のデヴィッド・F・サンドバーグは本作で
『死霊館』の製作チームに組み入れられ、
今年公開されたスピンオフ作品『アナベル2』も
スマッシュヒットとなった。
次回作はこれの続編という噂だったがその話は
なくなり、その代わりワン師匠とコミでDCの新作
"SHAZAM!"を手掛ける模様。


9位 『ジェラルドのゲーム』
イメージ 2原題"GERALD'S GAME"(2017年アメリカ)

玉ホラ賞ではすっかり常連のマイク・フラナガンが
スティーヴン・キング原作のスリラーを映画化。
キング作品はこれまで数多く映画化されてきたが、
キング独特の文体をこれほど見事に感じさせてくれる
映画はなかったと言っていい。
『人食いトンネル』、『オキュラス/怨霊鏡』から
『ソムニア 悪夢の少年』まで、フラナガンの志向性が
キングからスタートしたであろうことがよく分かる。
本年『イット』がメガヒットとなったのは決して偶然では
ないと思うが、この機会にこの人にはもっとキング映画
を手掛けてほしい。
ちなみにこれが気に入ったら同じくネットフリックス独占
配信の『サイレンス』もヒッチ風サスペンスの佳作。


8位 『呪われし家に咲く一輪の花』
イメージ 3原題"I AM A PRETTY THING THAT LIVES IN THE HOUSE"
(2017年アメリカ)

これまたネットフリックスオリジナルから。
一軒の古屋敷を舞台にした正統派ゴシックスリラー。
あからさまに『たたり』を意識した感じが鼻に付かなく
もないが、ふとガチの霊を感じさせる描写に心底背筋が
寒くなった。
監督のオズグッド・パーキンスはアンソニー・パーキンス
ご子息。
父とはまた違った形ではあるが、ホラーと言うジャンル
には並々ならぬ思いがあることでしょう。
現在の下世話で無遠慮な作品が主流を占めるホラー
界に一石を投じる一本と言っていいかと。




7位 『ゲット・アウト』
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原題"GET OUT"(2017年アメリカ、日本)

日本でも「予想外の」スマッシュヒットとなって
話題になったこの映画。
話題性のみならず、観てみれば納得のクオリティを
鑑みればヒットも必然と言ったところか。
ありがちな監禁拷問スリラーの類いかと思いきや、
ぜんぜん!予想しえなかった展開に驚き通り越して
笑いが漏れた。
ジェイソン・ブラムはワンパのファウンドフッテージ
やら都市伝説ばっかでいい加減にしろと言う感じだ
ったが、本作と『スプリット』の大ヒットで一気に
優良プロダクションにイメージが変わった感。

まあ、自分は寝オチしちゃったんだけど(笑)


6位 『ジェーン・ドゥの解剖』
イメージ 5
原題"THE AUTOPSY OF JANE DOE"
(2016年アメリカ、イギリス)

『アイム・ノット・シリアルキラー』と併せて
「ネクロホラー」シリーズとして銘打たれた一本。
まず確かに死体ありきの作品なのだけど
『ネクロマンティック』のような変態アブ映画では
全くなく、死体に好奇の目を向ける後ろめたさを
感じさせつつも、その隙をついてガチの恐怖を
剛速球でブン投げて来る快作でありました。
監督のアンドレ・ウーヴレダルは『トロール・ハンター』
で名を上げたノルウェー人。単なるイロ物系の作り手
と思っていたがその才はどうやら本物。
次なるは地元に戻ってのファンタジー作品"MORTAL"。
楽しみです。



5位 『ウィッチ』
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原題"THE VVITCH - A NEW ENGLAND FALKTALE"
(2015年アメリカ、カナダ、他)

開拓時代のアメリカ東部を舞台に、
綿密な時代考証ときめ細かな映像の作り込みで
「魔女伝説」を描き出した作品。
様々な解釈のしようがある映画とは思うけど、
魔女と言うどちらかと言えば荒唐無稽なイメージに
ついての認識が改められるとともに、欧米人が魔女に
対して抱く根源的な畏れを垣間見る。
同時に、封建的な世界に生きる一人の少女が
抑圧された自我を開放するまでの成長譚でもある。
『スプリット』と本作で続いてフィーチャーされた
アニヤ・テイラー・ジョイの鮮烈な存在感も特筆
すべきところ。


4位 『ネオン・デーモン』
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原題"THE NEON DEMON"(2016年デンマーク他)

誰がなんと言おうとコレはれっきとしたホラー映画です。
パク・チャヌクの『渇き』も裸足で逃げ出す、
大胆で官能的な解釈のヴァンパイアホラー。
とにもかくにもアンビリーバボな映像、そして音楽との
ドラッギーなシンクロ具合に尽きる。
ニコラス・ウィンディング・レフンは初めて観たけど、
この人がいるんならアルジェントには引退してもらった
方がとか不遜ながら思ってしまった。

にしてもエルファニングさんのこのところの
エキセントリックな役選びはどうしたことか。
性同一性障害の女の子にパンクの女王様。
まあ、楽しみっちゃあ楽しみなんだけど。


さていよいよトップ3の前にCM…じゃない、各部門賞の発表です。

切株賞 『トマホーク ガンマンVS.食人族』
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原題"BONE TOMAHAWK"(2015年アメリカ、イギリス)

こんな邦題なもんだから
なんでこんなのにカート・ラッセルが?と思うような、
しょうもないB級ウエスタンかと思ってたら、
思いのほかに渋めなロードムービー風。
ううつまんねえ…とか眠い目をこすって観ていると
いきなりグログロの切株地獄!!
石斧で生の人体をザクザクぶった切りハラワタを
ずるずる引きずり出す切株模様に、鬼畜慣れした
自分もさすがにノケ反った。
これで『オフシーズン』とかやったらスゴイことに
なるんじゃないか。




OPP賞は該当無し。ので、
代わりにホラーミューズ賞 アニヤ・テイラー・ジョイ
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『ウィッチ』と『スプリット』でキョーレツな
印象を残した現在21歳の新星。
正直さほど美人と言う感じではなく
どちらかと言えば微妙な感じなのだけど、
ある種アンバランスなルックスが作品の
特異な世界観に非常にマッチした。
フラナガン作品のアナリーズ・パッソといい
『アンシーン』のジュリア・サラ・ストーンといい、
異形系みたいなのが今のトレンドなんだろか







それから今年惜しくもご逝去されたホラーの巨匠に感謝の意を込めて

玉ホラ栄誉賞 ジョージ・A・ロメロ
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地獄は死者でいっぱいだから、
天国で相変わらずイヤミを飛ばしてる
ことと思います。どうぞ安らかに。






それとこのヒトも
玉ホラ栄誉賞 トビー・フーパー
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地獄がいっぱいでも
ビップ待遇で入っちゃうフーパ―さん。
地獄でも元気にチェンソーをウンウン
かき鳴らしてください。






3位 銅の玉吉賞 『新感染 ファイナル・エクスプレス』
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原題"부산행 TRAIN TO BUSAN"(2016年 韓国)

昨年我が国から『アイアムアヒーロー』という
ゾンビ映画のド傑作が生まれたが、今年は
お隣韓国からすげえゾンビ映画がやって来た!
クオリティとしては『アイアムアヒーロー』の方が上かと
思うが、それよりなによりこれでもか!というくらいに
感情をガクガク揺さぶる語り口は韓国映画ならでは。
いやあ、泣いた泣いた。
ゾンビ映画でこんなに泣かされるとは思ってもいな
かった。あのラストはちょっと反則だよ。




2位 銀の玉吉賞 『アンダー・ザ・シャドウ』
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原題"UNDER THE SHADOW"(2016年イギリス、イラン他)
今年ネットフリックスに加入して一番のめっけものが
この作品。
例えるならイランの『死霊館』+『ババドック』、
それから『デビルズ・バックボーン』と言った感じか。
この評価に意外性を感じる向きも多いと思うが、
ネットフリックスに加入したなら是非観てみてほしい。
こんなハイクオリティなホラーが中東で作られたことに
少なからず驚かされるはず。
若きイラン人監督ババク・アンヴァリの今後に期待。





1位 金の玉吉賞 『哭声 / コクソン』
イメージ 14

昨年は日本映画が全体的に不思議な盛り上がりを
見せていたけども、今年は完全に韓国のターン。
年初めに『プリースト悪魔を葬る者』を観た時に
「おや?」と感じてからすっかり潮目が変わっていた。
ポン・ジュノやキム・ジウン、パク・チャヌクといった
スター監督の新作が出揃ったのももちろん大きいが、
そんな中でナ・ホンジンがケタ違いの異才を
見せつけた。
怖かった。そして圧倒的に面白かった。
『新感染』のヨン・サンホのような新人が
突如として現れるのを見るにつけ、
やはり韓国映画は層が厚いと痛感する。
年明けの『悪女』もすごく楽しみだ。


以上、さすがに忙しくなってきたので総評みたいのは年明けに書き足そうかと思います。








映画『フィースト』~クズは死んでも治らない

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原題 FEASTイメージ 1
製作年度 2006年
製作国 アメリカ
製作 ディメンション・フィルムズ
    マルーフ・モーション・ピクチャーズ
    ネオ・アート&ロジック他
製作費 $3,200,000
国内配給 アートポート
日本公開 2008年3月22日
上映時間 86分

監督 ジョン・ギャラガー
脚本 パトリック・メルトン
    マーカス・ダンスタン
製作総指揮 ベン・アフレック
    マット・デイモン
    ハーヴェイ・ワインスタイン
    ボブ・ワインスタイン
    ウェス・クレイヴン他
製作 マイケル・リーヒイ
    ジョエル・ソワソン他
撮影 トーマス・L・キャラウェイ
音楽 スティーヴン・エドワーズ
編集 カーク・M・モッリ
美術 クラーク・ハンターイメージ 2
配役 ミシェル・ガーツ
衣装 ジュリア・バーソロミュー
特殊メイク ゲイリー・タニクリフ
出演
バルサザール・ゲティ:マヌケ
ヘンリー・ロリンズ:コーチ
ナヴィ・ラワット:ヒロイン
ジュダ・フリードランダー:ビール男
ジョシュ・ザッカーマン:ホットウィール
ジェニー・ウェイド:ハニーパイ
クリスタ・アレン:タフィ
アイリーン・ライアン:ばーさん
ダイアン・アヤナ・ゴルドナー:ハーレーママ
ドウェイン・ウィテカー:ボス
クルー・ギャラガー:バーテン

鑑賞 2018年1月4日
DVD-アンレイテッド・バージョン(発売元:アミューズ・ソフトエンターテインメント)字幕
★★★★☆

年明け早々酔っ払い、事務所で寝てしまった。
目が覚めたらお昼過ぎ。
ヨメからは3度の着信と怒りのメール。イメージ 3
財布の中は見事に空っぽ。
ああ、またやっちまったなあ…
二日酔いの頭を抱えながら反省と自己嫌悪。
当分酒は控えようと肝に銘じるも、夜になれ
ばそんな決意は消え失せるのが自明の理。
つくづく自分のクズっぷりが嫌になる。
こんな時はクズな映画でも観て笑い飛ばす
しかないと思い、手に取ったのがこの映画。

"FEAST"

テキサスの荒れ地にポツンと佇む一軒のバー。安酒で酔いつぶれるクズな面々が
ひとりづつ紹介されていく。イメージ 4

名前:車椅子君
職業:花火売り
生存予測:障害者は安全か

名前:ビール野郎
職業:ウェイター
生存予測:負け犬とバカは最初に死ぬ。
       こいつはその両方。

コメディなんかではおなじみのイントロだが、
モンスター映画のお約束に絡めた「生存イメージ 5
予測」が面白い。
そしてここにショットガンを抱えた血まみれ
のタフガイが飛び込んで来る。
「今から凶暴なバケモノが襲ってくるぞ!」

名前:ヒーロー
職業:戦士
生存予想:超本命

唖然とする一同。「あんたは誰だ?」
「オレかい?お前らの救世主だよ。」
そう言ってポーズを決めた直後にイメージ 6
「救世主」は窓の外に引きずり込まれ、
あっけなく退場してしまう(笑)
つまりはモンスター映画のお約束をハズして
笑いを取る、所謂「メタ方式」のパロディ
ホラーなのだけど、マニアが含み笑うある
あるネタよりも、節操のない下ネタと汚物が
乱れ飛ぶ乱痴気騒ぎ感覚がこの映画の肝。
怪物の群れに囲まれた一軒家の中で人間の
エゴとエゴがぶつかり合う構図はご存知
『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』だが、
本作の場合はどいつもこいつも共感指数の
低いクズばっかりで、勝手気儘やりながらイメージ 7
死んでいく姿に失笑と呆れ笑いの連続。
「誰が生き残るのか?」ではなく、
「誰が死のうがどうでもいい」状況の中で
ひとりのクズが本物のヒーローに覚醒する
クダリにちょっとだけ胸アツ。

製作総指揮に意外なメンツが名を連ねてい
るが、「プロジェクト・グリーンライト」なる
映画企画のオーディション番組があった
らしく、そのプロデュースをしていたのが
マット・デイモンとベン・アフレック。
脚本のパトリック・メルトンとマーカス・
ダンスタンはこの企画で世に出て、イメージ 8
当時のドル箱シリーズ『SAW』に大抜擢。
ダンスタンが監督デビューを果たした
『ワナオトコ』も好評で今後のホラー界を
担うような逸材ぶりだったが、近年はコンビ
を解消したのか今ひとつパッとした活躍が
見られない。
監督のジョン・ギャラガーは『バタリアン』
の所長役が有名なクルー・ギャラガー(本
作にも出演)のご子息。
やはりプロジェクト・グリーンライトで
登用されて本作で長編デビューを飾ったが、
以後はテレフィーチャ―やビデオスルーで
糊口を凌いでいる様子。
この脚本+監督のトリオが再結集したイメージ 9
『ピラニア・リターンズ』は彼らの持ち味が
最高に活かされ、ある意味前作を超えるほど
のバカ映画になっていたと思うのだけど、
いま一度こういった好企画をぶち上げて
ほしいもんである。

さて。クズはすぐには治らないけど、クズは
クズなりに目標を立てて暮らすこととしよう。
まず、時間を決めて働く仕事を探そう。
娘も大学に行くことだし、もうちょっと稼ぎ
を増やさないと。仕事が控えてると思えば
今みたいにバカな飲み方もしなくなるだろう。
それから自分もいい加減トシなんだから、
前々からやってみたいと思ってたことに手を
付けよう。そのうち行ってみたいと思ってた
場所にちゃんと行こう。その準備をしよう。
映画も新作よりは、いずれそのうちと思って
た映画を手に取ろう。
そう言えば『フィースト』はこの1作目は
面白かったけども、『2』と『3』があまり
に評判悪いんで「そのうちね」と棚の上に
置いちゃってたのだ。
「そのうち」シリーズ3作を一気見すると
いうのも長年やろうと思ってたことだから、
とりあえずはこれで1つ目標をクリアした
ことになる。
あ、まだ『1』しか観てないけど。

映画『フィースト2/怪物復活』~掟は破るためにある

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原題 FEAST2 : SLOPPY SECONDSイメージ 1
製作年度 2008年
製作国 アメリカア
製作 ディメンション・エクストリーム
    ネオ・アート&ロジック
    ライヴ・プラネット
製作費 $2,000,000
国内配給 トルネード・フィルム
日本公開 2009年6月27日
上映時間 97分

監督 ジョン・ギュラガー
脚本 パトリック・メルトン
    マーカス・ダンスタン
製作総指揮 クリス・ムーア
    ボブ・ワインスタイン
    ハーヴェイ・ワインスタイン
製作 マイケル・リーヒイ
撮影 ケヴィン・アトキンソン
    アレキサンドル・レーマン
音楽 スティーヴン・エドワーズ
編集 マーク・ジャクボウィッツ
美術 エルマンド・ディ・フェボ=オルシニ
配役 モニカ・ミケルセン
衣装 ジュリア・バーソロミューイメージ 2
出演
ジェニー・ウェイド:ハニーパイ
マーティン・クレバ:サンダー
クルー・ギュラガー:バーテン
ダイアン・アヤラ・ゴルドナー:バイクの女王
ケイティ・サプル・キャレイズ:刺青女子
チェルシー・リチャーズ:刺青女子
メリッサ・リード:乳女子
エイミー・マッギー:マリア
カール・アンソニー・ペイン:スラッシャー
ファン・ロンゴリア・ガルシア:ライトニング
トム・ギュラガー:グレッグ

鑑賞 2018年1月6日
DVD(発売元:ワーナー・ホームビデオ)字幕
★★★★☆

年明けの宣言通りに、
『フィースト』一気見プランの第2作目。
なかなか先に進まなかったのは
決して多忙ゆえと言うことだけではない。
だって、えらく評判悪いんだもの。
「最低」「くだらねえ」「金カエセ」イメージ 3
観た人総じて怒ってる。
まず一概に褒められる類いの映画じゃない
のは覚悟してたけど、どんだけ酷い地雷な
んだろかと案じながら手に取ったのだけど。

オハナシは「あの後」から始まる。
バケモノどもをなんとか撃退し、
数名のクズがバーから去って行ってから
数日後。
前回なんとも無残な死を遂げた
ハーレーママの妹、バイカークイーンが
やって来て、妹がこの地で死んだことをイメージ 4
知る。跡地でしぶとく生きていたバーテン
の証言によると、妹を殺したのはマヌケと
呼ばれる男であり(本当は違うんだけど)、
マヌケは近くの街へ逃げて行ったと言う。
バイカークイーンは仇討ちの一心で
バーテンを連れてその街へと向かうが、
そこにはあのオゲレツモンスターどもが
わんさと群れなしていた-!

観てみて納得、こらひでえわ(笑)
と言っても出来が悪いとか退屈とかいうイメージ 5
問題ではなく、ホントの意味で最低。
ひたすら吐き気を催す汚物と
つい憤りを感じる禁じ手の乱れ打ち。
原題の"SLOPPY SECONDS"は
「びしゃびしゃヌルヌルの第2弾」と
言ったところだが、主にはエロ系の
スラングとして通る用語だとか。
(ご興味の方はググってみるがよろし)
みんな本気で怒ってたんだなと。
前作も確かに下品でバカで騒々しい映画
だったけど、それでもそれなりに好事家
のツボをくすぐる「B級映画」であった。
が、今回は明らかにスタンスが違う。
前回はB級ホラーの「お約束」を外した
メタな笑いが特徴的だったが、
今回はそこから一歩進んで観客の
「まさかそれはやんないよね?」と言っ
た暗黙の了解を無遠慮に踏みにじる。
「不愉快な映画を見せて申し訳ない。
うほほほほ!」とメイキングで気色の悪
い高笑いをあげる脚本マーカス・ダンス
タンに軽く殺意を覚えた。
つかもう、作ったやつみんな横に並べてイメージ 6
順番にビンタしてやりたい。
ノリとしては『ムカデ人間2』にすごく
近いが、客を怒らせて話題性を煽ろうみ
たいな計算がない分よけいに始末が悪い
とも言える。
単にウケ狙いや目立とう精神で不謹慎だ
ったり常識はずれな行為を見せびらかす
ユーチューバー、バカッターの類いと
あまり大差ないかも。

…とかなんとか。
ごめん。
ホントにごめん。(←誰に言ってる?)
こんな映画を芋酎のお湯割り飲みながら
ゲヒゲヒ笑って、なんだかんだで面白が
ってしまった自分がエラそうなことを
言っちゃいけない。
ああやっぱりクズなんだなあと自分に
呆れないこともないのだけど、不愉快
通り越して快に感じてしまったんだから
しょうがない。
新年早々、観て良かったとすら思う。
ヒト様の評価を気にしながらずっと棚上
げにしていたこの映画が、想定通りのイメージ 7
良作なんかじゃなくて逆に良かった。
ある意味語り草になるくらいに「攻めた」
映画と言っていいんじゃないか。
今年はこの調子で行こうと改めて思った。
さて、『3』はどう来るか。

映画『フィースト3/最終決戦』~限界は見降ろすためにある

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原題 FEAST3 : THE HAPPY FINISHイメージ 1
製作年度 2009年
製作国 アメリカ
製作 ディメンション・エクストリーム
    ライヴ・プラネット
    ネオ・アート&ロジック
製作費 $2,000,000
国内配給 トルネード・フィルム
日本公開 2009年7月4日
上映時間 79分

監督 ジョン・ギュラガー
脚本 パトリック・メルトン
    マーカス・ダンスタン
製作総指揮 クリス・ムーア
    ボブ・ワインスタイン
    ハーヴェイ・ワインスタイン
製作 マイケル・リーヒイ
撮影 ケヴィン・アトキンソン
    アレキサンドル・レーマン
音楽 スティーヴン・エドワーズ
編集 カーク・M・モッリ
美術 エルマノ・ディ・フェボ=オルシーニ
配役 モニカ・ミケルセン
衣装 ジュリア・バーソロミューイメージ 2
出演
ジェニー・ウェイド:ハニーパイ
カール・アンソニー・ペイン:スラッシャー
ファン・ロンゴリア・ガルシア:ライトニング
ダイアン・アヤラ・ゴルドナー:バイクの女王
ハンナ・パットナム:シークレット
トム・ギュラガー:グレッグ
ウィリアム・プラエル:宿なし
チェルシー・リチャーズ:刺青女子
クルー・ギュラガー:バーテン
メリッサ・リード:乳女子
ジョシュ・ブルー:預言者
レイシー・マンシャック:ゲロ吐き女

鑑賞 2018年1月10日
DVD(発売元:ワーナー・ホームビデオ)字幕
★★★★☆

と言うわけで、『フィースト』イッキ見3本目。
『最終決戦』とか言ってるけど、
どうせ堂々完結!といった感じのご立派な
ファイナルじゃないのは覚悟の上。イメージ 3

オハナシはまたまた「あの後」から(笑)
バケモノの巣と化した街から脱出したいのだ
けど、相変わらずビルの屋上でひたすら手を
こまねいてるクズの面々。
え。まだそこにいたの?と言いたくなるが、
『2』の序盤からほとんどなにも進展して
なかったんだからしょうがない。
どんだけバカに付き合わすんだって話だ。
ここからなんとかかんとか地下道への入
イメージ 4
に辿り着き、脱出劇へと進むのだけど、
その前に「えっ!!?」
ここから大活躍するかと思われたあの人が
あっさり退場し、速攻で死んだと思った
(つか死んでほしい)アイツが死んでないと
いう、相変わらずしょうもないサプライズ。

下水道での脱出劇がメインとなる本作。
ご想像の通りじめじめと薄暗くてきったない
シチュエーションで臓物やら排せつ物が乱れ
飛ぶオゲレツ模様は相変わらずなのだけど、イメージ 5
『2』と比べるとその不快感嫌悪感は幾分か
マシ。(つっても飽くまでも「マシ」な程度
なのでそのつもりで)
その代わり、始めやった通りに観客の
「こうなるだろう」「こうなってほしい」と
言うような、浅はかな予想や期待を徹頭徹尾
ハズすことに注力。
もうここまで来ると面白いとか面白くない
とかいう次元じゃない。たぶん作り手の方も
ウケようとか笑いを取ろうとかいうつもりはイメージ 6
とうに捨てていただろう。
どれだけ観客はお決まりの定番や予定調和
に満足しきっていたか、作り手はそんな風潮
にだらしなく合わせていたかということだ。

よおし上等だあ、とことん付き合ってやらあ!
これで怒っちゃったらオレの負けだ。
こっちもヘソの曲がり具合には自信がある。
(↑どういう自信だよ)
完璧ヒネクレモード全開でイメージ 7
「どうせこいつもすぐ死ぬんでしょ?」
「あーそう来るか。うんうん面白い面白い」
「きたねーよバカ!嫌いじゃないけど!」
バカ映画に対する寛容を終始保ちつつ、
次々と展開される非常識やナンセンス、
スベリやスカシ、臆面もない居直りの類いを
「楽しみながら」いなしていったのだけど、
やがて地下道を抜けて「目的地」に辿り着いイメージ 8
たその時。あまりにもあんまりなラストに
「おい!!!!」つい大きな声が出た。

完敗です。
"HAPPY FINISH"ってそういうことね。
「♪考えたってダメ。全部ハズレだから。」
まったく、年明け早々景気がいいや。
なんか大袈裟だけど、映画の見方からして
変わった気がする。

イメージ 9

満足げなGULAGER家の方々

ちなみに細かいことだけど、
"GULAGER"は「ギャラガー」ではなく、
「ギュラガー」「グラガー」とみんな発音してる。
お父さんのジョン・ギャラガーは若い頃有名
2枚目スターだったらしく、
その時日本に紹介された際に「ギャラガー」
表記された名残と思われ。
まあ今更だけど。
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